15 JN side ページ15
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暗闇から抜け出すための術は
先生に教わった
あとは合図が掛かるのを待つだけ
Aがユンジと別れること
それが僕にとっての合図
まずは彼女という名の捌け口を清算する
今更A以外にどう思われようがどうでもよかったから
カトクで簡潔に終わらせるつもりだった
すぐさまスマホを手に取り
あの女にカトクを送った
" 別れる "
たった一言
これ以上の言葉なんて他にはなかった
送信完了の表示が出たのを確認して
用の無くなったスマホをベッドの端へと放り投げた
このとき電源を切っておくべきだった、と
今更後悔しても遅い
『なぁ、電話』
放り投げたスマホから流れ出した音は
途切れる気配が無い
相手なんて見なくてもわかる
しつこく鳴り続ける着信音に
少しイラついた様子のA
出ろと言うので
仕方なく通話ボタンを押した
付き合ってる時からそうだったけど
本当に面倒な女
どうしてとか
なんでとか
はっきり言わないとわかんないかな
今まで1度でも好きって言った?
僕にとって
その言葉は君のためにあるんじゃない
「二度と僕に話し掛けないで」
最後の一言を告げ
スマホの電源を切った
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作者名:HEKi | 作成日時:2023年5月14日 23時