１２、 ページ13
・数日後
体力が少しずつ回復した俺は、ゆっくり散歩でもしよう思うて立ち上がった
すると
「おい、アベ！」
扉の外から話し声が聞こえてきた
「そんなの、知らない方が絶対辛いだろ！」
「だから、隠し通せばいい話でしょ？」
アベちゃんとテル兄や
なんや、不穏な空気が俺にも伝わってくるで
これ、聞いたらあかんヤツやろ
そんなの分かっとるけど…
俺はドアに耳を押し当ててしもうた
「俺は嫌だからな
サクマを殺したことも
あの狼を殺したことも
全部無かったことにするなんて」
『え？』
サクマくん？ あの狼…？
どういうことや？
『なに話してるん？』
「こ、コウジ…」
俺が部屋から出ると、テル兄が苦しそうに顔を歪めた
「コウジ、部屋に戻って」
『嫌や』
「コウジ！」
『なにを隠しとるんや！』
カッと頭に血が上って、不自由な体を必死に動かしてアベちゃんに掴みかかる
『サクマくんに何があったんや！？あの狼って、誰のことや！！』
「コウジ落ち着けって！」
簡単に押さえ込まれる俺を見ても、アベちゃんの表情は涼しいまま
「サクマは死んだよ、あいつは人狼だったから」
『じ、んろう…？』
頭が追いつかへん
やって、サクマくんと俺たちは、ずっと一緒に居ったやないか
『なん、で…』
体から力が抜けて、その場に崩れ落ちる
“ コウジ ”
『え？』
声が聞こえた
俺の大好きな声が
『め、めめっ』
「コウジ？」
さっきまでの脱力感は嘘のように、足が勝手に動き出した
“ コウジ、コウジ……俺はこっち ”
何度も、何度も俺の名前を呼んでいる
『ここ、って…』
目の前に広がるのは村の墓場
その立派な墓石の中で
ただの小さな石が積まれた場所を見つけた
わからん
なんでかは分からんけど
俺は側に寄って座り込んでいた
もう、声は聞こえない
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スメシ - スーさん» コメントありがとうございます。ストーリーに関しては結構練っていまして、そのようなお言葉を貰えてとても嬉しいです！応援、とても力になります！これからも楽しんでいただけるように精進いたします！！ (2021年3月18日 11時) (
レス) id: 2e3f726332 (このIDを非表示/違反報告)
スー - 今日このお話を初めて読ませていただいたのですが、ストーリーが素晴らしくて、とっても続きが気になりました…！！応援させていただきますので、これからも更新頑張ってください！！ (2021年3月17日 19時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スメシ | 作成日時：2021年3月8日 21時
