爪も牙もない君。

１１、 ページ12

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あれから、目を覚ますと






　




「コウジくん！？」


『ラ、ウ…』







目を真っ赤にしたラウールが視界を占領しとる






『へへ、泣いとった…んか？』




そのフワフワな頭を優しく撫でようとするが







　





「っ！…ごめん」


『ラウ？』






避けられてもうた



反抗期か？さすがにショックやで






　



「あのね、コウジくん」


『ん？』





そして、なんや深刻そうな顔をして俺を見つめた



さっきまで喜んでくれとったんに








「お、俺ね___________ 」




その先は聞く前に








　








「ラウール、どうした！？」


「こ、コウジが目覚めてる！！」





ダテとアベちゃんが部屋に入ってき来て、遮られてしまった





　





「よかった、本当に…っ」


『アベちゃん…！』





力強く抱きしめられて、突然涙が溢れてきた



安心したって気持ちもあるんやけど、なんか違う気持ちまで込み上げて…








「コウジ、1週間も眠ったままだったんだよ」


『そ、そんなにか！？』





道理で、体動かすんキツイ思うたで



体力が回復すんのに、一体どんくらい掛かるんやろうな〜？





　






早う元気になって、めめに会いに行かんとな







あ、めめが群れから追い出されてたら どないしよ…


あのリーダーとか言うやつなら、やりかねない








いや、もしかしたら あの木で待ち続けとるかもしれん






ほら、狼って犬科やろ？



せやから、めめも大人しく待っとるかもしれん






　






うん、きっとそうや




めめなら大丈夫






　




「ラウール、ヒカル呼んできて貰っていい？」


「わ、かった…」





浮かない顔をしたラウールは部屋を出て行った





『ラウ、どうかしたんか？』


「んー、コウジが起きて安心したんじゃない？」


『そうか』






俺は扉を見つめた






　






しかし






テル兄もラウも、部屋に来ることはなかった

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