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30, 居るべき場所へ ページ33

十「今、お主がどんな眼をしておるか分かるか?」

妖しげな笑みを浮かべて僕を見下ろす十六夜の言葉に身体が固まる。

十「その様な面妖な力、狐面如きで隠せる訳無かろう。それとも、まだ思い出しておらぬのか?」

僕の顔を覗き込む様に問う十六夜に、僕は眉をひそめる。一体彼女は何を言っている?
僕が何も答えない事から察したのだろう、彼女は小さく溜め息を吐いた。

十「まぁ良い、それも……ここで死んでしまえば関係の無い事じゃ。」

先程までの笑みから一転、濁りきった殺人鬼の眼で僕を見据え、拳銃を構える。

十「お主はお主の居るべき場所へ帰れ_______〈化け物〉。」

飛来する弾丸を避け、そのまま建物の中に転がり込む。
廊下を走り、何度も角を曲がって相手の追跡を逃れる。

しかし、ずっと逃げ続ける訳にもいかない。荒れた呼吸を整え、少し広めの部屋に入る。
肩の傷から滴る紅色は抑えていた手を真っ赤に染めていた。懐から手拭いを取り出して
傷口に巻き付け、止血する。ズキズキと痛む肩に手を添え、重たい息を吐き出す。

『…死ぬかもなぁ、僕。』

天井を仰ぎ見ながらぽつりと呟く。我ながら情けなさで笑えてくる。
勝手に助けて、勝手に怪我して。僕は1人で何をやっているんだろう?

その時、部屋の障子が激しい音と共に蹴破られた。
チャキッという音を立てて、銃口が僕を捉える。

十「鬼ごっこの次は隠れんぼか。忙しい奴じゃのう。」

『…その方が、楽しめると思ったからさ!』

そう言いながら目にも留まらぬ速さで相手の懐に飛び込む。
拳銃が火を吹き、短刀がそれを弾く。一進一退の攻防の中、チャンスはなかなか掴めない。

交わっては離れ、また交わって…。終わりの見えない戦いに、限界が近付いてきていた。
両手に握った短刀を振りかざして斬りかかる。だが、それは相手に隙を与えただけだった。

飛んで来た鉛玉が、僕の左太ももを貫く。痛みと驚きでバランスを崩し、後ろに倒れる。
背後にあった壁にもたれて座り込んだ僕に、黒い銃口が向けられる音がした。

十「終いじゃ。遺言があるなら聞いてやる。」

『遺言…じゃあ1つ、残しとくよ。』

僕の返答に、彼女はほんの数ミリだけ拳銃を下げる。


その一瞬を、僕は見逃さなかった。


左手に握った短刀で拳銃を弾き、上に飛ばす。
そして、驚いてそれを見上げたそいつの胸に______。





『…死ぬのはお前だ、十六夜。』






僕は、銀色に光る刀を突き刺した(・・・・・・・・・・・・)

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林檎はいつまでも…… - やっぱ面白いなぁ。 (2018年5月17日 19時) (レス) id: 0403755de3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - レモンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけてとても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2018年5月14日 8時) (レス) id: c713ce536a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 凄く面白い話なので、更新頑張ってください!応援してます! (2018年5月14日 0時) (レス) id: c6018d0b79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 白桃餅子さん» ありがとうございます!めっちゃ頑張るのでこれからもどうぞご贔屓に笑 (2018年5月6日 18時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - お誕生日おめでとう! これからも頑張ってください! (2018年5月6日 13時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめだぬき | 作成日時:2017年12月21日 21時

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