28, 襲撃者 ページ31
来た道を戻り、僕は再び
腰に差した刀に触れ、狐面の下で笑みを浮かべる。
『……さっさと終わらせるか。』
その言葉を合図に、僕は眼前にそびえる高麗門に向かって跳躍した。
自慢の脚力で余裕で乗り越え、敷地内に飛び降りる。申し訳程度に
置かれていた見張りの男3人を数秒で倒し、中へと入る。
そこからは単純な作業だ。人の気配を感じた部屋に入り、相手が声を上げる前に斬る。
仮にも本拠地のため、決して人数は少なくなかったが、僕にとっては何人だろうと変わりは無い。
……30、40は斬っただろうか。思っていた以上に多い人数に少し驚きつつ、
今しがた倒した男を見下ろす。彼も実にあっさりと死んでしまった。
『何だ、攻撃避ける奴どころか叫び声上げる奴も居ないじゃん。』
よく今まで生き残って来れたな、と呑気に呟きながら部屋を出る。
______刹那、頭上からの殺気。
さっと横に跳んで逃げ、短刀を構える。目線の先には、影が1つ。
月明かりに照らされた襲撃者は、見覚えのある白いマントを羽織っていた。
表情はマントのフードを被っているためよく見えないが、恐らくこいつが……。
『へぇ、お前が
火薙蛇に居る殺し屋の内の1人だろう。
相手は何も答えない代わりに、すっと右手を挙げた。
それと同時に、背後に何人かの気配を感じる。3人、いや4人か。
…だが、僕もそんな奴らに殺られる程ヤワじゃない。
次々に襲いかかって来る4人の首を、腹を、肩を、足を斬り、倒す。
辺り一面に紅い花が咲き乱れる様子を、白マントの人物はじっと見つめていた。
動かなくなった4人を見下ろし小さく息を吐いた僕の後ろで、ぱちぱちと手を叩く音がした。
振り向いた僕の目に映ったのは……黒い銃口。
乾いた音を響かせて吐き出された鉛玉を回避するも、すぐにまた次が来る。
避けても避けてもその繰り返し。速い、なんてものではない。
だが、その人間離れした技の持ち主を、僕は
握ったままだった短刀を勢い良く投げる。真っ直ぐ飛んで行くそれを、弾丸が正面から貫く。
?「相変わらず綺麗じゃのう、お主の殺り方は。」
砕け散った短刀の向こうで、そいつは嗤う。
その声は、案の定聞き覚えのあるもので。
『相変わらず似合わないね_______
花魁の様な美しい着物を身に纏ったその女性に、僕はお面の下から笑い掛けた。
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林檎はいつまでも…… - やっぱ面白いなぁ。 (2018年5月17日 19時) (レス) id: 0403755de3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - レモンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけてとても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2018年5月14日 8時) (レス) id: c713ce536a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 凄く面白い話なので、更新頑張ってください!応援してます! (2018年5月14日 0時) (レス) id: c6018d0b79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 白桃餅子さん» ありがとうございます!めっちゃ頑張るのでこれからもどうぞご贔屓に笑 (2018年5月6日 18時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - お誕生日おめでとう! これからも頑張ってください! (2018年5月6日 13時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめだぬき | 作成日時:2017年12月21日 21時