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24, 気付くべきだった ページ27

2人が繰り広げていた低レベルな言い争いは、Aが何も
言い返せなくなったところで終わった。今回は総悟の勝ち、という訳だ。
Aは深い溜め息を吐いた後、でも、と呟く。

『総悟の言う通り、僕が知ってるのは裏だけで、表の事はあんまり知らないのかもな。』

その表情は笑顔だが、その声はいつもより寂しげに響いた気がした。
総悟も同様に感じたのか、笑みを消して黙り込んだ。そんな俺たちを見て、
Aは不思議そうな顔をする。俺は、何でもねぇ、と言って誤魔化した。

土「それよりお前、晩飯食ったのか?」

『あぁ、銀時たちと会う前にな。後は風呂入って寝るだけだよ。』

土「そうか。」

それならまぁ良いだろう、と心の中で呟き、懐から煙草と愛用のマヨライターを出す。


……その時点で、気付くべきだったのだ。Aの視線が、俺に向けられていた事に。


俺はいつもの様に煙草を咥え、ライターの火をつけた。当然、ふっと火が灯る。


そこから、スローモーションの様に時間がゆっくりになった。


驚きで固まる俺の目に映ったのは、短刀を薙ぎ払ったAの姿。

ふわりと揺れた前髪の隙間から見えたのは、普段は隠れているAの右目。



______それは、蛇の様に瞳孔が縦に伸びた、一欠片の光も宿さぬ蒼色(あおいろ)の眼。



満月の様な淡い蒼色だが、それは濁りきった湖の様に暗く、鈍く光る。

例えるなら、“感情の無い操り人形”。

その眼に睨まれ、背中にゾクリと悪寒が走った。


だが、それは全て一瞬の、コンマ数秒にも満たない程の出来事。

Aははっと我に返った様に瞬きをして、そのままその場に硬直した。

何が起こったのか分からぬまま、居心地の悪い沈黙が訪れる。



『_____ぁ、わ、悪ぃ、怪我してねぇか…?』



慌てて短刀を仕舞い、恐る恐る問うAの目は、いつも通りの黒色だった。

見間違いだったのだろうか、と、俺の頭は案外冷静だった。

…が、身体は先程感じた寒気をしっかりと覚えている様で。

声を出そうとしても、俺の喉は全く機能してくれなかった。

頭の切れる彼女には、それだけで十分だったのだろう。

『…部屋、戻る。』

悪ぃ、と謝り、その場から逃げる様に部屋へ向かった。

今までずっと黙り込んでいた総悟が、無言で俺の手を指差す。

俺が手を開くと、何かがするりと手から滑り落ち、床に打ち付けられた。




…それは、真っ二つに斬られたライターだった(・・・・・・・・・・・・・・・・)

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林檎はいつまでも…… - やっぱ面白いなぁ。 (2018年5月17日 19時) (レス) id: 0403755de3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - レモンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけてとても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2018年5月14日 8時) (レス) id: c713ce536a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 凄く面白い話なので、更新頑張ってください!応援してます! (2018年5月14日 0時) (レス) id: c6018d0b79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 白桃餅子さん» ありがとうございます!めっちゃ頑張るのでこれからもどうぞご贔屓に笑 (2018年5月6日 18時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - お誕生日おめでとう! これからも頑張ってください! (2018年5月6日 13時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめだぬき | 作成日時:2017年12月21日 21時

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