20, 【魅化月】のルール ページ23
すたすたと部屋を去っていく新井の背中を見送っていると、
それに気付いた隊士たちが申し訳無さそうな表情をした。
隊「悪ぃな。あいつ、最近色々あったからさ…。」
そう言って言葉を濁す隊士に、僕は怪訝な顔をする。
『色々って？』
隊「それは、その…。」
沖「あいつにゃまだ9歳の弟が居やしてねィ。そいつがつい先日【魅化月】に攫われたんでィ。」
『…攫われた……？』
その言葉に、僕は無意識に眉をひそめた。隊長さん…いや、総悟は、そのまま言葉を続ける。
両親の離婚だの養子だの、とにかく彼には様々な家庭事情があるようで。
難しい事はよく分からなかったが、“攫われた弟”と新井は、血の繋がらない義兄弟なんだとか。
とても仲の良い兄弟で、新井自身も義弟をとても可愛がっていたらしい。
そんな義弟が攫われたのは今から1ヶ月程前の事。【魅化月】関連の事件が起きた日の
夜だったため、新井は【魅化月】がやったと言って局長に報告した、という訳だ。
『んで、何か情報は掴めたのか？』
山「これがさっぱりダメなんだよ。尻尾どころかそれらしき影も無い。」
どうしたもんか…と溜め息を吐く退兄から視線を外し、畳を見つめる。
彼らが何の情報も得られていないのは、【魅化月】が犯人だと決め付けて
捜索しているからだろう。だが、残念ながらそれでは永遠に義弟は帰って来ない。
何故そう言い切れるか？……【魅化月】は人殺しは行うが、人攫いは絶対にしないから。
奴らは面倒事を何よりも嫌う。誰にも気付かれぬ様にアジトまで運び、暴れないよう黙らせ、
それから…なんて事をするより、その場でさっさと斬り捨てた方がよっぽど早い。
邪魔者は即排除する。それが【魅化月】のルールなのだ。
沖「…どうかしやしたかィ？」
急に黙り込んだ僕に違和感を覚えたのか、総悟が首を傾げながら言う。
その隣で、十四郎が何かを察した様に口を開いた。
土「テメェ、まさか首突っ込もうなんて考えちゃいねぇだろうな？」
『考えてないよ。それとも何、突っ込んだ方が良いの？』
土「あほかテメェは。自分が奴らからすりゃ死んだ事になってる人間だって分かってんのか。」
『バレたら今度こそ消される事くらい理解してるさ。まぁ狙われんのは初めてじゃないし、』
いざとなりゃあ返り討ちにしてやるよ、と言うと、十四郎は黙って深い溜め息を吐いた。
……そんな彼を見ながら、後でちょっと調べよ、と心の中で呟いたのは、僕だけの秘密だ。
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林檎はいつまでも…… - やっぱ面白いなぁ。 (2018年5月17日 19時) (
レス) id: 0403755de3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - レモンさん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします♪ (2018年5月14日 8時) (レス) id: c713ce536a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 凄く面白い話なので、更新頑張ってください！応援してます！ (2018年5月14日 0時) (レス) id: c6018d0b79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 白桃餅子さん» ありがとうございます！めっちゃ頑張るのでこれからもどうぞご贔屓に笑 (2018年5月6日 18時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - お誕生日おめでとう！ これからも頑張ってください！ (2018年5月6日 13時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめだぬき | 作成日時：2017年12月21日 21時
