告白とありのまま ページ9
「A！」部屋の戸を開けると、嬉しそうなリリーの声がする。
「リリー…。」Aは静かに窓のそばまで歩いていく。
「リリー、信じてほしいの。私は…私は、天使なの。「生」を司る天使。」
「…！？」マグル生まれであるリリーにとって天使というのは宗教上、神に仕え、
人間に神の言葉を伝えるいわばお伽噺の中の存在だった。
Aは月に向かって祈る。
「私の本当の姿を大切な友に…。」月がひときわ明るく光る。
その光がリリーとAの部屋を満たしたと思えば、Aは素晴らしく美しい姿になっていた。
頭の上には天使の輪、見事な純白の羽が洋服から出て広がっている。
そしてその洋服は制服ではなく、白く儚いミニドレスに長い白の靴下。
何もかもがAに恐ろしく似合っており、リリーは息を呑んだ。
「リリー…これが私の本当の姿よ。私は「生」を司る天使。私の周りでは良い事が起こる事が多いわ。」
Aは目を伏せて静かに、淡々と語る。
「A…本当に美しいわ…。」
「ありがとう、リリー。私の家はね、不幸が大好きで、幸せを運ぶ私は親とも話せないの。
だから、感情表現が難しくて。私、よく表情の変化がないって言われるけど、そのせいなの。
で、私の家、それだけじゃなくて、純血至上主義で闇の陣営に与してるっていう噂もあるのよ。
そこまで聞いて、私のこと、どう思う？」
「私は、どんなAでも大好きだよ。それに、グリフィンドールに入ったAが
他のラヴ家の人と同じだとは思わないわ。」
「リリー…ありがとう、本当にありがとう。私、自分を肯定されたことがなくて…」
そこまで言うとAは安心したのか泣き始める。
「A、これからは自分の感情を抑えちゃだめよ。恥ずかしい事じゃないんだから。
今みたいに…貴方の涙は美しいわ。純粋な感情は、美しいのよ。」
「私、リリーと友達になれて、本当に良かった。」
「あら、私たちは友達じゃなくて親友よ。」
Aは涙の光る顔で笑った。
この時から、Aは自分の感情を抑えなくなった。(抑えるべき所は抑えるけど…怒りとか。)
そして一気に友人が増える事になるのだった。
「これが、Aの本当の魅力。すぐに誰とでも打ち解けられる心が眠っていたのね。」
リリーは新しい友人(崇拝者)に囲まれるAの姿を見ながら一人、嬉しそうに呟いた。
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作者名：リアノ | 作成日時：2022年12月12日 11時
