ホグワーツへの招待状 ページ2
今日も一人でおき、勝手に食事を呼び寄せて、本を読んで、一日中、誰とも会話を交わさずに過ごした。
それが当たり前。私の世界は狭い。純血の家の人しか知らない。
でも、天使だからか狭い世界でも生きるのに苦労したことは無く、杖もなしで魔法が使える。
こんな生活、つまらない。ただの、チートよ。
でも、そんな無機質な私の生活にも花があった。
待ちに待ったホグワーツ魔法魔術学校入学許可証が届いたのだ。
これで、久しぶりに両親と話せるのか。理由がないと口を開くことも許されない。私が幸福を呼ぶから。
それでも、ダイアゴン横丁へは、一人で行くことになるだろう。
少し、寂しい。
A・ラヴはいくらこの生活に慣れているといえども11歳の少女。両親が恋しいのは事実なのだ。
８月２３日。
Aはパブ・漏れ鍋に一人で入って行った。
杖がなくても姿現しができるなんてどれだけチートなんだろう。
彼女が一歩足を踏み入れた瞬間、いや、彼女がパブのドアを開けた瞬間、そこには幸せが満ちた。
Aは心の奥底ですごくワクワクしていた。
そして、その感情が表に出て、表情は硬いままだが、輝くような「存在」になってしまっていた。
ついいつもの癖でこんなに明るくしちゃだめだと思いなおして感情を押さえつけたが遅い。
パブ中の人の視線がAに集中していた。
結構嫌な気分を味わったAだが、その後味は一瞬で消える。
「素敵だわ。」表情を全く崩さないままAは呟いた。
ダイアゴン横丁は、陽気で、騒がしくて、人が溢れ返っていて、Aの憧れた場所だった。
家は、陰気で、恐ろしいほどに静かで、人が居ない寂しい場所。
Aは家は天使である自分の居場所として間違っていると思っていた。
「…まずは、杖ね。」そう言うとAは背筋を正して真っ直ぐにオリバンダーの店に向かった。
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作者名：リアノ | 作成日時：2022年12月12日 11時
