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でも、それでも、少しなら手伝えたかもしれないのに。少しばかり悔しい気持ちを抑えてお昼を過ごした。


仁花の先輩のお勧めオムライスは、本当に美味しかった。久しぶりに食べた人が作ったご飯。

最近は夜はコンビニ弁当で済ませたり、お昼は冷凍食品を詰めたお弁当。朝はフルーツグラノーラを食べるが、今日の様に寝坊をしたら食べる事がままならない。
一人暮らしをしてから気づいた、母の有り難み。初任給で両親に少し高い焼肉屋さんに連れて行こう。



まだ、席を確保していない人もいるようで、食べ終わるのを待つ人がいるのをみて最後の方は口の中にオムライスをかきこんで水で流した。

及川さんと国見さんに、お先に失礼しますと伝えて仁花と二人で食堂を後にした。少し時間はあるが仁花が先輩から呼ばれたようなので手を振って別れ、私は自身のデスクに戻った。



「あれ?松川さん?」
「ん?」


デスクに戻ると隣には松川さんがお弁当を広げて食べている。

「接待だったのでは…?」
「え?あ、あぁ、うん。そうなんだ、でもあまり食べれなかったから、お腹すいてコンビニで弁当買ってきた」



一瞬どこか目を逸らして見たように見えたが本当に一瞬だったのであまり気にせずにそうなんですね、と言ってコーヒーを淹れに給湯室へ向かう。

及川さんと国見さんの分も一応淹れておこう。そう思ってマグカップを4つ、用意してお湯が沸くのを待つ。




「あれ?もしかしてコーヒー淹れてくれてた?」

ひょこっと給湯室に顔を出した及川さん。この人は本当に神出鬼没だと思う。

「はい。あ、もしかして午後外回りですか?」
「いや、俺もちょうどコーヒー飲みたくて来たんだけどデスクにAちゃん居なかったしもしかしたら淹れてくれているのかな〜って思って。まあ、あとは、Aちゃんと少し話したくて」


及川さんは少し苦手だ。普段は周りをしっかり見ていて、何か困っていてればすぐに気づいてくれる。
でも、稀にこういう顔をするときの及川さんは、怖い。ゾクリと背筋に悪寒が走る。


「Aちゃん、俺が昨日言ったこと覚えてる?」
「昨日…ですか?」
「“まっつんはやめておけ”ってやつ」
「あ、はい。覚えてます」


少し忘れかけていたがまだ覚えていたのでそう言えば及川さんは、満足そうに笑って「そう」と一言だけ言って沸いたお湯をマグカップに注いでくれた。



松川さんはやめておけ、これが一体どういうことなのか、私には知る由もない。

気づかないように蓋をして→←.



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設定タグ:ハイキュー , 松川一静   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:お湯 | 作成日時:2019年5月9日 19時

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