29 ページ29
ただの仲良しじゃんってわざと怒ったみたいに言うと、
ふふって翔太先輩が笑い出した。
「ふは、ありがとAちゃん」
『何笑ってんですかもう。ほら行きますよ』
「え？」
『先輩、ベンチのとこいるんで』
そう言って立ち上がると、「まじ？」って
翔太先輩もついてきた。
並んで歩きながら「何で知ってんの？」って聞かれる。
「…あ、康二？」
『どうでしょう』
「何、そこ2人で動いてくれたの？」
『偶然ですよ。さっき連絡来てびっくりしました』
「まじ？めっちゃ息ぴったりじゃん」
たまたまですよって返すと、
やっぱ似てんだよなぁって翔太先輩。
『え？』
「前も言ったけどさ、Aちゃんと康二」
『あぁ、』
「康二って俺とか歳上にはすごい犬みたいな感じでさ。
その感じがAちゃんと似てる」
…え、そうかな。
首を傾げてると「懐っこくてすぐ馴染めるとかとか」って補足される。
「でもAちゃんには先輩っぽいっていうか、
なんか兄貴面すんのあいつ」
『…』
「それをいじるとAにだけって恥ずかしがるんだけど」
確かに、康二くんには少し面倒見てもらってる感が強いかもしれない。
「でもさっき、俺に今行けって言うAちゃんもそれと同じ感じがした」
『…え？』
「意外としっかりしてる所とか、優しい所とか」
『…』
「似てるから2人、合うと思うよ俺は」
もう仲良いだろうけどって。
『…どうですかね、(笑)』
……似てるかな。
似てないよな。
嬉しいけど、素直に喜べない。
康二くんが似てないって言ってたし、
…嬉しくないとも言ってたし。
『…翔太先輩、』
「ん？」
『…私2人のこと好きなんで、ちゃんと仲直りしてくださいね』
「ふは、わかった(笑)」
「優しいね」って言われて、そんなことないって首を振る。
この状況が康二くんにとってチャンスなんじゃないかって考えてしまった自分が嫌になった。
.
校舎の外に出て、ベンチを見渡す。
何個かあるから探さないといけない。
翔太先輩と2人でキョロキョロしてたら、私が見た方向に康二くんと先輩の姿を見つけた。
先輩は俯いてて…もしかして泣いてる？
翔太先輩に知らせようとしたその時。
『……あ、』
康二くんが先輩の顔を覗き込んで、
そのまま顔を近づけた。
……待って、ダメ。
『、先輩！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1030人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きき - 読んでる途中で何回も泣きました。何回も読み返しにきます。素敵な小説をありがとうございました。 (2022年12月20日 1時) (
レス) @page45 id: 2e4c7a3530 (このIDを非表示/違反報告)
小袖(プロフ) - 涙が止まらなくなりました…良すぎてよすぎて胸が痛くて最高すぎます… (2022年12月11日 0時) (レス) @page45 id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
りえまりこ(プロフ) - 何度も読み返したくなる作品で、何度読み返しても心が動かされます。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年12月9日 6時) (レス) @page45 id: 1f2c4c1078 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - めっちゃいいお話でした！！途中感動で泣いちゃいましたよ。思いが通じたところも最高でしたし、その後のしょっぴー先輩のお話もすっごく共感しました！登場人物みんなちょっとだけズルくて、でも正直で可愛いのがホント素敵でした。 (2022年4月25日 15時) (レス) @page45 id: d946c1f5c6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 今まで見た小説で一番好きです！最高すぎますし、天才です！気づいたら泣いちゃってました、、笑 めいさんの他の小説も読ませて頂きます！こんな素敵なお話読ませて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月18日 3時) (レス) @page45 id: 8dc1188793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 23時
