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『…んー、こっちはいいや』
「いいの？」
悩んでたじゃんって翔太。
興味なさそうにしながら何気にちゃんと見てるんだよな。
『でも私には合わないし』
「え、そう？」
『…私がヒール履いたら、デカすぎるし』
「…」
『可愛くないじゃん』
だからこっちってレザーシューズを持って笑う。
買ってくるって伝えて、翔太を置いてレジに向かった。
.
靴を買った後はもう特に目的もなかったから私のコスメ選びに付き合ってもらった。
「え、リップってこんなに色あんの？」
『すごいよね』
「違いあんの？」
『あるんだよ』
「わかんの？お前」
『わかんないよ』
「は、やば(笑)」
どれしよってテスターを手に試してたら、翔太も「へー」とか言いながら手につけてて少し笑ってしまった。
「え、落ちないんだけど！」
って手をこすりまくる姿にも笑った。
『あ、これ』
少し離れたところにある香水のコーナーで、気になってた柑橘系の香水を見つけた。
シュ、とテスターを試す。好きな匂い。
「何、香水？」
『そう。匂いきた？』
「え全然」
そう言うから手でパタパタ煽ぐけど、「何の匂い？」
って不思議そうな顔をする翔太。
翔太の前にテスターを吹きかけようとしたら、グイッと手首を掴まれた。
そのまま鼻を寄せてス、と香りを確かめられる。
『っ、』
呼吸が手首にかかって、なんか無性に恥ずかしくなった。
「あーいいじゃんこれ。オレンジ？」
うんうん頷きながら手を離す。
手首には体温が残ったまま。
『…や、シトラス、かな』
「あー。……え、待って顔赤い？」
驚いた表情で私の顔を覗き込む。
慌ててパッと横を向いた。
『…なってない』
「いやなってんじゃん。え、何で？どこに照れる要素あった？」
『どこにもない』
「俺らもっとすごいのやってんじゃん」
『うるさい！』
でかい声で言わないでよ！と腕を叩く。
そんな私を「痛ぇ！」と言いながらゲラゲラ笑う翔太。
『もういい、買ってくるから待ってて！』
「わかったわかった。は〜、意味わかんねえ(笑)」
顔に熱を感じながらレジに並ぶ。
…いや、知ってるよ。
もっとすごいことやってるのもわかってるよ。
でも、
なんかわかんないけど、
なんか、手首嗅がれたり、そういうのが、
外でも恋人みたいなことをするのが、
なんか妙に恥ずかしかった。
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かな(プロフ) - 一気読みしました!とっても素敵なお話でした！ (2021年11月14日 8時) (
レス) @page33 id: 22fe685296 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ(プロフ) - ところどころ、名前が変換されない所がありました。 (2021年11月13日 21時) (レス) @page34 id: 15fffef845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 23時
