お人形さんと魔法のオルゴール

46.印 ページ46

愛律「…っ！A！」



ぐいっ



着替えようと自室のドアノブをひねったところで、私は愛律くんに腕を引っ張られて転びそうになる。



A「な、なに…？！」



愛律「お前…！その印どこでつけられたんだよ！」



愛律くんの冷たい指が、私の首すじに触れた。



A「＿＿ひぁ…っ！」



そのひやりとした感触に、思わずびくりと体が揺れ、間抜けな声が出てしまった。



綺雪「うわぁ〜…キスマーク！しかもまだ新しいね…。いけない子だなぁ、」



綺雪くんはそう言って、楽しそうに笑う。



愛律「誰に付けられたんだよそれ…！？」



愛律くんは私の両肩を掴んで、壁に押し付けた。



A「痛っ…や…あっ！！離してよ…。愛律くんには関係ないもんっ！」



バタンっ…！





綺雪「あーあ…。」



愛律「………A…」





＊








＊








＊



A「っ……はぁっ…はぁ………」



私は愛律くんを振り切って、自室にこもった。




手鏡で自分を映すと、確かに首すじのところには花弁のようなほんのり赤い印が付けられていた。


……キスマーク



A「酷い………初めてだったのに…」



好きでもない人にファーストキスを奪われ、こんな印まで付けられた。





ドアの外から私を呼ぶ声や、愛律くんと綺雪くんの言い合いが聞こえるけれど、全部無視して私は布団をかぶった。

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