奇跡２

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『何日でも何年でも待ってる』


あの日の言葉の通り。

手越くんはあれから一切手を出してこない。



一緒にご飯食べて、

一緒にテレビ見て、

至って平和な毎日が続いてく。



これが普通。

そう思うのに、何だか物足りなく感じてしまうのはどうしてなんだろう。



祐「ん？どうした？俺の顔になんかついてる？」

「ううん。何でもない」



我ながら可愛くないな、と思う程に素っ気ない返事しかできない。


違う違う。

何か違う。


今まで私、どうしてたっけ？


考えれば考える程に、少し前の自分が手越くんとどう過ごしていたのか思い出せない。



祐「ねぇ、最近さ、Aちょっとおかしくない？」

「そう？何も変わらないと思うけど」

祐「いや。おかしいね。全然俺の顔見ないし」


そう言いながら手越くんが、俯き加減の私の顔を不意に覗き込んでくる。


ドキッと鼓動が高鳴ると同時に、

何だか久しぶりにみる手越くんの顔が目に映る。


祐「何でそんなに赤くなってるの？」

「ちがっ」

祐「待ってるって言ったでしょ？Aがいいよって言うまで、俺は何もしないよ」


分かってる。

確かに「待ってて」と言ったのは私だ。


だけど…


「何もしないで、とは言ってないよ？」

祐「え？」

「キス…しちゃダメなんて言ってない」



今にも消えそうなか細い声で、私はそう小さく呟いた。

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