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想いが通じあってからの2度目のキスは

テレビもついてない静かなリビングで

さっきは花火でかき消されてたリップ音が、妙に耳につく。



恥ずかしさと苦しさで、思わずギュッと手越くんにしがみつけば

そのままギュッと私へと返ってくる温もり。



それが、益々私の鼓動を加速させていくし

呼吸だって益々苦しくなっていくのに、

『好きだなー』

なんて改めて思わされる程に心地良い。



だけど、次の瞬間。


不意に首元に落とされた唇に、私は咄嗟に身を引いた。


佑「あっ。ごめん、つい……」

「う、ううん」



甘い空気が、瞬時に不穏なものへと変わる。


なのに、


私よりも驚いた顔して

私よりも泣きそうな顔してる手越くんが


すごく愛おしい。



佑「俺、ちょっと焦り過ぎちゃったね」


そう言って、少しバツの悪そうに笑う手越くんの胸に、私は思わず顔を埋める。



違う。

違うんだよ。


怖いって思ってるのはキスの先のことじゃない。


一度得た幸福感は、きっと二度三度欲しくなる。



もし、そのまま元の世界に帰ったら?

記憶を失うことなく戻ったとしたら?



なんとも言えない空虚感を抱えたまま、その先10年という時を過ごさなきゃいけないなんて…



「あの……もう少しだけ待って?」

佑「え?」

「大丈夫って。きっと大丈夫って。私の覚悟が決まるまで…」



ギュッと目を瞑って、吐き出した本音の答えに耳を澄ます。



すると、不意に頭をクシャクシャと撫でながら優しく笑いかける手越くん。



佑「分かった。何日でも何年でも待ってる」

「いいの?」

佑「当たり前じゃん。まっ、焦らされれば焦らされるほど燃えるし。あ、もしかしてソレ狙いだったりとか?」

「ちがっ……」

佑「ははっ。冗談だよ。俺の知ってるAはそんな駆け引きなんかしないからね」


そう言っていつも冗談っぽく茶化して、

だけど決してふざけてる訳でもなくて、

ちゃんと最後には私の意を汲んでくれる。



そんな手越くんが、


私はやっぱり好きなんだ。

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みう - 好きすぎる、、更新ってもうしないんですか? (2018年7月21日 3時) (レス) id: a5723500cc (このIDを非表示/違反報告)
めぐみるく(プロフ) - hicgmさん» 返事が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした。とっても嬉しいコメントをありがとうございます♪更新は超がつくほどの亀ですが…頑張ります!! (2017年5月7日 23時) (レス) id: e0faa04fd5 (このIDを非表示/違反報告)
hicgm(プロフ) - 今まで色んな作品を読みましたがこのお話が1番好きです!更新まってます(^^) (2017年3月31日 0時) (レス) id: 5a58872fad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めぐみるく | 作成日時:2016年10月9日 23時

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