操り人形（マリオネット）【オリオンの刻印】 (ページ8)

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朝ページ8

貴方side
『たす……けて。誰……か』
　
真っ暗な闇の中に、か細く苦しそうな少女の声が聞こえる。真っ暗でその姿は見えない。

貴「はぁ……」

嫌な汗がじっとりと体にまとわりついている。目覚めの悪い朝だ。

貴「着替えようかな」

じっとりした汗をたっぷり吸ったシャツを脱ぐ。
いつできたか分からない傷とあざだらけの体を見つめる。

＿＿＿目が覚めて気づいたら屋敷にいた。記憶がなかった。広い広い部屋にぽつん、と私だけがいた。

コンコン。ドアを叩く音がした。

灰「入るぞ」

貴「ちょ、ちょっと待って!!」

時すでに遅し。もう灰崎はドアを開けてしまっていた＿＿＿。

貴「へ、変態!」

灰「!!///」

急いでシャツを着る。

貴「よ、用件は……何?」

灰「あぁ、大谷が心配してたぜ。花咲のこと。けど、マネージャー達が忙しかったから……俺が代わりに…。ったく、大谷のやつ。ま、まあ悪かったよ」

貴「べ、別にいいわよ。事故だし?//」

灰「じゃ、早く来いよ」

貴「うん…。そ、その……ありがとう」

灰「あぁ」

灰崎君がドアを閉めて出ていった。
その時、彼が照れていたことなど、彼女は知る由もなかった。

貴「早く食堂行かなきゃ」

大「Aちゃ～ん!!心配したんだよ～～!」

うえ～んと、つくしちゃんが抱きついてくる。周りの視線が痛い。特に鬼道君なんかは…。

貴「ごめん、心配かけて。あの…出来れば離れてもらえるかな?その…周りの視線が…」

大「あぁ、ごめん」

少し恥ずかしそうにしながらぱっと手を離してくれた。

貴「いただきます」

おいしい。やっぱりヨネさんのご飯は美味しい。愛情がこもっている。家のご飯とはまるで違う。
そう、あれは美味しいんだけど、外は温かいんだけど、中身が冷たかった。って思いふけってる場合じゃない！速く食べなきゃ。

貴「ごちそうさまでした」

灰「おい、早くしろよ!今日バスだろ」

貴「うん。今行く」

バスに乗る。

間に合った。良かった。

最近、といっても昨日の今日だが、私は思った。このまま偽りの自分を演じるままでいいのか、と。

灰崎君の時は素だったけど。
イナズマジャパンの皆が一部を除いて偽っているとは思えない。
ねぇ、お義父様、本当にこのままでいいの？信じて、いいの？

一「……輩。先輩」

貴「一星君?」

一「隣、いいですか?」

貴「いいよ」

一「ありがとうございます!」

貼り付けたような笑顔を見せる一星君。バレバレだよ?私と同じだけど。