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「よし、これで登録できたよ」
はい、と返された携帯の画面には”氷浦貴利名”と表示されていた。
「これでいつでも連絡できるな」
「……どうやって連絡するのですか」
「何も知らないんだな……」
えーっと……と氷浦は電話の掛け方、チャット機能の使い方を教えてくれた。
「難しかったら俺から連絡するから、それに反応してくれればいいよ」
「……分かりました」
「じゃあ、俺はそろそろ試合の準備に戻らないといけないから……じゃあな、Aさん」
「……じゃあな、氷浦」
こちらに手を振る氷浦を見送っていると、後ろから足音が聞こえた。
振り返ればそこには何か袋を持ったゆうまと西陰がいた。
「ただいまA。何もなかったかい？」
「さっき、氷浦と会った」
「……ふーん、そう。何をしたの？」
「連絡先を交換した」
「！ ……そっか」
ゆうまは一瞬目を見開くと、そう一言言った。
ゆうまは袋を持っていない方の手で自分の手をとった。
「さ、観客席に行こうか。試合が始まってしまう」
「うん」
ゆうまに手を引かれ、観客席までの廊下を歩く。
それまでの間、特に会話はなく、廊下には足音と袋が鳴る音のみが響く。
「Aは甘いものが食べやすいみたいだからね、きっとこれを気に入るよ」
「……その袋に入っているもの？」
「そう。白恋中のスポンサーのしろうさぎ本舗が販売しているお菓子だよ。あとで一緒に食べよう」
「分かった」
正直、食べ物に関してはよく分からない。
食べやすいもの、舌が痛くなるもの……食べ物とは不思議だ。
「まだ始まっていなかったようだね。よかった」
グラウンドを見ると、既に選手は入場していた。
選手達を見ていると、何故か目に止まったのは水色の髪……氷浦だった。
先程まで話していたからなのか、『絶対に勝つ』と言っていたからなのか。
……雷門に『勝って欲しい』と思っている自分がいた。
「どうしたんだい？ ……もしかして、彼が気になるのかい？」
「さっき話をしたからなのか、理由は分からないけど……何故か、雷門に勝って欲しいと思った」
仮に最終的に雷門が決勝まで勝ち残ったとしても、勝つのは王帝月ノ宮だと言うのに。
「そっか。Aは雷門を応援したいんだね」
「おう、えん」
この気持ちが、応援したいという気持ち。
感情というものは不思議なものだ。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
