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数日前
俺は練習後に携帯の連絡アプリからの通知を見て目を見開かせた。
そのメッセージの主は豪炎寺。
内容は＿＿＿“Aを見かけた”というもの。
Aは俺達にとって今でもチームメイトだ。
しかし、彼奴は俺達がサッカー強化委員として派遣される前に姿を消した。
彼奴が姿を消して数ヶ月……新しい春が来た。
今年もFFは開催された。Aの行方が分からないまま。そう思いながら時間が流れたとき、そんな連絡が来たのだ。
行方不明と思われていたAだが、そもそも本当に行方不明ならば事件になっているはず。それがないという事は行方不明ではないという事。
何故連絡を寄越さなかったんだ。
そう言いたかったが、次に豪炎寺から送られてきたメッセージにその言葉を撤回するしかなかった。
「”別人のようだった”……だと？」
その後も豪炎寺からのメッセージは続き、その内容は信じられないものだった。
豪炎寺が発見したとき、Aは頭を抑えて苦しそうにしていたという事
スーツを着た見知らぬ大人達に連れて行かれた事
その大人達の一人が『自分たちとは正式な契約の元で成り立っている』と発言した事
そして……まるで
豪炎寺が目撃したのは、星章学園と木戸川清修の試合が終わった後だったそうだ。
その日は偶然その場に居合わせていたのか、それとも他の試合も見に来ていたのかは分からない。
豪炎寺からの連絡を元に次の試合、俺は観客席にAがいないか探した。……が、その姿を見つける事はできなかった。。
やはり偶然だったのか。そう思った翌日、衝撃のニュースが飛び込んできた。
“王帝月ノ宮に光現る！”
サッカーニュースのトレンドに堂々の一位で載っていた記事のタイトルに引かれ、その記事をタップした。
その記事には画像があった。
……雷門を照らしていたもう一つの光である存在、Aが映し出された画像が。
「なんだろう……この違和感は」
何の変わりようもない姿だと思った。
しかしずっと眺めていると違和感が生まれ始めたんだ。
彼奴の目はこんなにも曇っていただろうか。
彼奴の顔はこんなにも固かっただろうか。
「え……っ？」
スクロールしていくと信じられない記述があった。
試合結果は14-0
相手校の棄権によるものだったと言う。
そして、その14点は全てAが奪った点だと記述されていた。
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年6月6日 0時
