01 光の消失 ページ4
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じいちゃんとばあちゃんが運ばれた病院は幸いにも俺が入院している稲妻総合病院だったが……既に息がなかったそうだ。
二人が運ばれた時、俺は検査中で終わったのは夕方だった。
Aの部活が終わるのも丁度このくらいの時間なはずだ。もしかしたら会えるかも知れない。そう思い、携帯の連絡アプリにメッセージを入れた。
「……」
白い布を被せられて横たえられていた祖父母を見て、それが現実である事を受け入れるしかなかった。
俺達には両親がいない。
両親が亡くなった後、俺とAは孤児院に預けられた。
その孤児院で暮らす他の子供達は気兼ねなく話しかけてくれて、打ち解けるまでには時間はかからなかった。……Aは慣れるまで時間が掛かっていたけれど。
両親を失い孤児院で暮らすこと3年間……俺が8歳、Aが6歳の頃に母方の祖父母に引き取られ、孤児院の子供達と別れた。
あれ以来会えていないけれど、あの孤児院のみんなは元気にしているだろうか。
「それにしても遅いな……」
遺体安置室の近くに設置された椅子に腰掛けてAを待っていた。
連絡アプリを見てみても、メッセージに気づいていないのか見ていないのか……既読の表記がなかった。
「あの、A夫妻のご家族ですか？」
携帯の画面を見つめていた時、看護師の女性は話しかけられた。
座って話しては失礼なので、立ち上がって女性と向き合う。
「あ、はい。孫です」
「その服装……君、ここで入院している患者ね。そろそろ病室に戻らないと」
「それは分かっているんですが……妹を待っているんです」
いつの間にか日は沈んでいて夜になっていた。
間違いなくAにも連絡が入っているはず。部活が終わっているのなら連絡されているはずなんだけど……。
「妹さん？ もしかしてベージュ色の短い髪をした子かしら？」
「！ はい、そうです。……もしかして、既に此処へ来ていたんですか？」
「ええ、夕方前にここに来ていたみたいよ？」
看護師の女性によると、Aは俺が検査を受けている間にここへ来ていたそうだ。今目の前にいる看護師本人が見たわけじゃ無く、別の人が見かけたそうだ
「そうですか……」
じゃあ今は家で泣いているのかな。
そう思った俺の考えを破るかのように、看護師の女性は言葉を続けた。
「＿＿＿でも、父親だって言う男性と帰っていたから大丈夫よ」
その言葉に目が見開いていく感覚がした。
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年6月6日 0時
