162 ページ12
・
「あの…。この雰囲気の中聞くのは申し訳ないんですけど、一番可能性の高かった人は誰なんでしょうか」
互いの想いを告白しあった後。
迅さんは近くの丸椅子に座って、私は布団から顔を出した。
ふと気になった事を迅さんに尋ねてみた。
「………なんで？」
「いや可能性が低かった、って言うから気になっただけです。…嫌そうな顔しないでくださいよ」
私の質問に長い間を開けてそう答えた迅さん。
その表情にクスッとなると、ムッとした表情になって面白い。
迅さんのそういう態度が愛おしいと思えるのは、本当にこの人が好きなんだ、と実感できる。
「……高かったのは、出水と秀次。その次に、京介と嵐山」
「そんな嫌そうに言わなくても…」
拗ねたような低い声で私の質問に答えた迅さん。
その様子に苦笑いが出る。
「Aちゃん、俺の
「まさか。今の質問は純粋に気になっただけですよ」
迅さんがジト目という奴で私を見ている。
今の質問も私が悪戯心で言ったのでは、と思っているらしい。
「しかし、公平と秀次と、ですか…」
二人の顔を思い浮かべながらそう言った。
私としては弟感覚で接していたので、二人と恋人関係になるような未来があるとは思わなかった。
「あのさ、Aちゃん」
「なんですか、迅さん」
迅さんが、足を組んだ膝に肘を乗せながらこちらを見ている。
まだムスッとしてる…。
「俺たち『恋人同士』なんだよ？」
「…はい？」
迅さんの言葉に反射で聞き返してしまった。
「だーかーら、恋人同士なんだってば」
「えっ、…え？」
「違うの？」
そう言って首を傾げた迅さん。
蒼い目が私を捉える。
「…恋人に、してくれるんですか？」
「当たり前じゃん。…長年の想いがやっと叶ったんだ、嫌でも離してやんない」
そう言って迅さんが私を抱きしめる。
私の怪我を労ってなのか、何処か優しい。
「じゃあ…、『悠一』さんって呼んで良いんですか？」
「勿論」
迅さん…じゃなかった。がそう言った後に、額に柔らかい感触が。
その正体はすぐに分かった。
だって、今悠一さんの首元が見えてるから…っ。
「ははっ、Aちゃん顔真っ赤」
「…うるさい、です」
額にキスされたんだ。
その事が分かって顔が熱くなる。
それを悠一さんが嬉しそうに指摘した。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
迅さんファン - 恵野さん» おぉ、ありがとうございます！基本的に機械には強いんですけど、変なとこで鈍くて…教えてくれてありがとうございます (2020年8月2日 3時) (
レス) id: c2696f1d0a (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 迅さんファンさん» このページの一番下にあります、作者名に書かれている私の名前をクリックまたはタップして頂くと、私の作品一覧ページへ飛びます。そこにTwitterのアカウントを記載していますのでそちらをコピペして頂いて検索をかけてください！アカウント名は作者名と同じです！ (2020年8月2日 0時) (レス) id: a722acc2d1 (このIDを非表示/違反報告)
迅さんファン - Twitterのアカウント名はなんと言う名前ですか？ (2020年8月1日 23時) (レス) id: c2696f1d0a (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - みうなさん» ありがとうございます！！この作品を読んで頂き、感謝です！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: e99f77392e (このIDを非表示/違反報告)
みうな(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いつも楽しく読んでいました。本当にありがとうございます！！お疲れ様でした！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: a285ab83dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恵野 | 作成日時：2020年4月29日 20時
