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棺の中には枯れた花/Mr.Hc ページ5

※あずま真太郎様リクエスト



碧棺左馬刻は強欲な男だった。目に入るもの全部全部、手に入れないと気が済まなかった。その強欲のお陰で彼はヨコハマの王様になれたわけだし、愛する妹を守り続ける事も、チームメイトと共に因縁のチームに打ち勝つ事もできたのだ。



そんな男が恋をしたのは、左馬刻の地位に必死にしがみつこうとしている浅ましい女なんかではない。彼自身と向き合い、そしてどうやっても自分を友人としか見てくれない初々しい女。それがAだった。赤茶色の長い髪の毛が、左馬刻は好きだった。自分の目の色と似ているというのもあるが、小柄なAがなんだか自分のために懸命に咲いている一輪の薔薇のようで愛おしい。



妹やチームメイト、それからシブヤに在住する女の扱いに長けた知人の協力もあり、晴れて左馬刻はAと結ばれた。今だって洒落たカフェでデートをしている。仲は良好。だが、あの時のことは思い出したくない。自分らしくもないあの頑張りを恥じるように、左馬刻はくしゃりと白い髪をかきあげた。隣に座るAがその様子を見てきょとんとしている。なんでもねェと誤魔化し、今度のデートの日を約束して別れる。



帰り道、やけに眩しい月が左馬刻を照らした。ヨコハマの夜は危ない。いくら左馬刻といえど、一人で歩くのは避けるに越したことはない。足早に繁華街を歩いていると、いかにも「遊んでいます」というような豊満な肉体の女が寄ってきた。いつもなら、Aとは反対の卑しい女を鬱陶しく思い散らすところだ。だが、何故か左馬刻はこの女から目が離せなかった。否、この女からではない。多分他の女でも、左馬刻は目を惹かれていた。純情の権化、信頼の天才たるAを左馬刻は大切にしていた。キスより先、大人の世界に踏み込むのはきっとまだ遠い。だから、左馬刻は「溜まっていた」。そこへうってつけの女が来てしまったのだ。



強欲故に、自らの欲を満たすものを手に入れなければならなかった哀れな王は、女に惹かれるまま大人の世界へ踏み込んだ。

棺の中には枯れた花/Mr.Hc→←花より外に知る人もなし/Crazy M



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(プロフ) - ありあむ★さん» 何回か貼れてなくて焦りました(笑)コメントありがとうございます。頑張ります! (2019年2月16日 20時) (レス) id: 785252a094 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 水空色さん» 了解です。ちょっと二郎君の口調把握したいので遅くなるかもです…! (2019年1月28日 19時) (レス) id: 785252a094 (このIDを非表示/違反報告)
水空色(プロフ) - あの、リクで二郎とは犬猿の仲のヤンキー夢主が喧嘩に負けて襲われそうなのを二郎が助けるのいいですか? (2019年1月28日 18時) (レス) id: c0998fa5ff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あずま真太郎さん» いえいえ、こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年1月21日 10時) (レス) id: 6e4265016c (このIDを非表示/違反報告)
あずま真太郎 - ありがとうございます(土下座)来世まで語り継ぎます(使命)こういう報われない(?)終わり大好きです。 (2019年1月21日 7時) (レス) id: 9ab5b26630 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:nothing  
作成日時:2019年1月19日 18時

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