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朧月の音【jono】 ページ12

目の見えない男が一人、とある家を訪ねた。昔ながらの日本家屋で、引き戸がカラカラと音を立てて開いた。



「条野様、今日もいらっしゃったのですか?」
「駄目ですか?」
「まさか。どうぞお上りください」



中から出てきたのは、黒髪の少女だった。洗礼された美しさは、条野の整った顔立ちとよく釣り合っている。



その夜はそれは綺麗な朧月だった。縁側から見えるその月を見上げ、Aは思わずうっとりと溜息を吐いた。



「条野様、今日は朧月夜ですよ」
「綺麗ですか?」
「ええ、それはもう」



もう一度息を吐き、熱いお茶を条野に渡す。それを啜りながら、条野は微笑んだ。



「月がそんなに美しいのですね」
「ええ。条野様にも見えたら良いのに……」



ふと、Aの顔が曇る。



「ねえ、条野様…貴方は普段、聴覚で世界を見ていますよね」
「はい。それがなにか?」
「音がない時はどうするのですか?」



音がない時?条野は首を傾げる。



「月に音はありません。このような見事な朧月も、貴方は見えていないのでしょう?」



哀しそうに、彼女は目を伏せる。黒い瞳からは、今にも泪が零れ落ちそうだった。条野はその様子を見て、少し考えた後、すっとAの顎を持ち上げた。



「私は正直、月であるとかそういったものに興味はありません。ただ、貴女の感情が聞こえればそれで良いと思っていますよ」



二人はそっと唇を重ねた。

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月瀬ゆうめ(プロフ) - 市さん» わぁぁぁ・・・褒めて頂けて嬉しいです!検討有難う御座います!出来れば・・・ですから無理なさらないで下さいね  市さんの他の作品ものぞかせて頂きます♪ (2019年1月20日 10時) (レス) id: 07bb2550e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かなでさん» ありがとうございます!かなでさんに応援していただいたおかげで完結することができました。本当にありがとうございました!! (2019年1月19日 21時) (レス) id: 6e4265016c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 月瀬ゆうめさん» ありがとうございます。ゆうめさんは甘いのとかお上手なので羨ましいです……。了解しました!検討させていただきます。 (2019年1月19日 21時) (レス) id: 6e4265016c (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 完結おめでとうございます!!一話一話を読み終わる度に何とも言えない気持ちになり、言葉にすると『好きだわこれ』しか出ないくらいにもう…もう…好きです!!(結局これしか言えない)二度目になりますが完結おめでとうございました!お疲れ様でした! (2019年1月19日 21時) (レス) id: 5c0695dae3 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - ヒヤリとしたりほんわかしたり・・・読み進める中にどんどんハマりました(笑)中也の盲愛とかは最後の一行に話の全貌が見えてドキッと冷や汗が流れた気がしました・・・面白かったです!続編作って頂けたら見に行きます!・・・無理ではなければ続編作ってほしいです! (2019年1月19日 21時) (レス) id: 07bb2550e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:nothing  
作成日時:2018年7月13日 2時

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