Mezzo Piano ＊ ２ ページ39
ふと、目が合った。
……愛ちゃん。
涙目で私を見つめてくる。
私の噂の原因の〝原因を作っちゃった〟から、
思い詰めちゃったのかな。
本当に愛ちゃんには迷惑をかけてしまっている。
「皆さ、」
こんな簡単な嘘に騙されるだなんて、バカなんじゃないの。
普段の渚からは想像もつかない暴言が発せられた。
「僕さ、嘘が嫌いだから全部ぜーんぶ。何にも包まず言っちゃうけど」
せんせーは何も言わない。
ただ、丸い目で渚を見つめている。
「人の信頼って脆いよね、すぐ壊れちゃうんだから。どんな関係にあっても、さ」
彼はちらり、とある人物を見やる。
ふるりと、緑色の瞳が揺れた。
「……A」
カエデ。
「…そんな根拠もない事に左右されて、今までの仲間を虐げる〝向こう側〟になるだなんて、本当に酷い人達だ。ここにいる、皆」
「…渚、そんなに言わなくても大丈夫だと思うよ」
ちょっと言い過ぎだと思う。
私がそう言うと、彼は私を見据えて、
「僕は別に君の噂を払拭する為にここで言った訳じゃない。〝前〟の自分がやらかした物を片付けただけだから」
そう言い放った後、
「あああああ！！？」
せんせーの悲鳴が響く。
手に持っていたノートを、真っ二つに破いたからだ。
「もう１つ。今の僕は皆の知っている〝潮田渚〟じゃない。だから、さっきの言葉で傷付いたとしても〝潮田渚〟に仕返しをするだとか、そんな事、考えないでね。全ての責任は、」
コイツにあるから。
「え」
「何、〝僕〟という人格を作る原因になったのは君でしょ？」
「そ、それはそうだけど……」
「じゃあ一連の責任は君にあるね」
「…………」
当然だとでも言うような表情で私を見つめる。
…理があるから言い返せない。
引き続き、今度はノートのページを破りつつ、
渚は席に戻ろうとする。
「せんせー、泣いてないで授業始めて。煩いよ」
「…この……っ、この鬼！人でなしッ！！」
「わぁ、超生物に言われるなんて思わなかった。光栄だな」
面白そうに、彼はクスクスと笑った。
Mezzo Piano ＊ ３→←Mezzo Piano ＊ １
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春灯海星(プロフ) - シュクランさん» 返信が遅れて申し訳ないです…！好きと言って頂けてとても嬉しいです！自分の欲望という欲望を注ぎ込んだだけなので文才なんて全くありませんが…(笑) この作品を読んで何かを感じて下さったことがありがたいです…！ありがとうございます(*´ｰ｀) (2016年9月21日 16時) (
レス) id: ee6b940371 (このIDを非表示/違反報告)
シュクラン(プロフ) - あああああ今更ながら一気読みしました…夢主ちゃんをただ甘やかすだけじゃないところが本当に好きです…。渚くんのそれぞれの人格に魅力があり、それらを書き分ける作者さんの文才に脱帽しました…。 (2016年8月20日 2時) (レス) id: bf953a7028 (このIDを非表示/違反報告)
春灯海星(プロフ) - メイアPさん» ありがとう！！大好きなんて嬉しいな(*´∀｀*) 本当にこの作品で色々経験させてもらったからね…感謝感謝だよ！最後まで応援、ありがとうございましたっ！ (2016年3月7日 19時) (レス) id: ee6b940371 (このIDを非表示/違反報告)
メイアP(プロフ) - 完結おめでとう！！かいせいの作品は凄く面白くて大好きです！！！ (2016年3月7日 12時) (レス) id: 4de8fcecde (このIDを非表示/違反報告)
メイアP(プロフ) - 春灯海星さん» うん！最後まで応援するのだよ(｀・ω・)更新楽しみにしてます (2016年2月29日 9時) (レス) id: 4de8fcecde (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春灯海星 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kaisei/
作成日時：2015年3月15日 21時
