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「なーんだ、翔太はAちゃんのこと知ってたんだ」
「うん」
不思議な4人のメンバーで、熱々の麺をすする。
私の左側に翔太くんがいると思うと、左肩だけ凝ってしまいそうなほど緊張する。
私がお話の邪魔をするのは気が引けるので、終始聞く側に徹する。
「そうそう、こいつさ看護師さん口説いてんの」
「はぁ!? お前……お前……」
翔太くんがゲラゲラ笑いながら話すと、ふっかさんは驚愕と言わんばかりに、口を手で覆う。
「なんやその反応は火サスか」
3人は仲良しさんで話しのテンポが非常に良い。
私も傍から聞いててたまに笑いが出てしまう。
「Aちゃん、康二に泣かされたら俺たちに言ってね」
ふっかさんは優しく微笑むが、私はその笑顔に思わずキュンとする。
こ、これは……モテますね……。
「ちょっとA! 心の声が出とる!」
「え、やだ!」
思わず口にしていたらしく、私は慌てて手で口を塞ぐがもちろん手遅れで。
「はい、モテてますね」
ふっかさんはわざとらしく気障にキメると、翔太くんは隣でうぜぇと笑う。
「まぁ、泣くのは康二か。寂しがり屋の甘えん坊だからなー」
「ははは……」
今日から同棲を始めました、なんて言っていいのか分からず、とりあえず笑って流す。
「さ、食ったし翔太行こっか」
「うん」
ひとしきり話し終えて、2人は手を振りながら店を出ていった。
「ホンマに何しにきたんや」
康二くんはわざとらしく疲れた表情をするけど、楽しかったと顔に書いてある。
私はその表情をみると嬉しくなる。
「さ、俺たちも帰ろうか」
「うん!」
そうだ、私たちの家に帰ろう。
康二くんと同じ家に帰れる喜びを今一度噛み締めて、2人で夜道を歩いた。
後日康二くんがふっかさんにメッセージアプリで、私が翔太くんを見たときは悶絶してたけど、ふっかさんはそうでもなかったと送ったことで、ふっかさんが私に魅力を伝える会をしたいと騒いだのはまた別の話だ。
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作者名:六花 | 作成日時:2022年9月21日 22時