白衣の天使じゃないけれど (ページ13)

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４．初対面その２ページ13

「やっと終わったー！」
　数日かけ少しずつ荷物を運び、手続きも済ませてついに康二くんの家に引っ越しが完了した。
　何度も訪れた家だけど、一緒に住むとなったらなんとなく景色が違って見えるから不思議だ。
「改めて今日からよろしくね」
「なんやの急に」
　そうは言いつつも、康二くんからは嬉しいオーラが溢れていて、まるでお花が舞ってそうだ。

「ちょっと遅なったし今日は何か食べに行こか」
「おぉ！やったー！」
「何がええ？」
　こういう時はいつも私の意見に合わせてくれる優しい康二くん。
　うーんと思案する中、昨夜に見たテレビでラーメンの特集があったのを思い出した。
「ラーメン！」
「お、ええね」
　康二くんは首を縦に振ると、オススメの所があるらしく、私達はそこへ向かうことになった。

「お腹ぺこぺこー」
「好きなもん選び」
　まだお客さんは疎らであっさりテーブル席に座れることになった。
　着席すると、康二くんはさっと私にメニューを見せる。
「えー、どれにしよっかなぁ……」
「げ」
「ん？」
　康二くんが何かに気づいたようで、私はメニューから康二くんに視線を移す。
「康二じゃん」
「あ、ホントだ」
　帽子にマスク、さらに眼鏡で１人は誰だか分からないけれど、その男性の隣にいるのが翔太くんだということは分かる。
「こんでええんよ」
　２人が颯爽とこちらに来ると、康二くんはうんざりした表情をする。
「女の子連れてたらそんな態度か！いつもふっかさーん、しょっぴー好き好きぃって言ってるだろ」
　男性は康二くんの真似をしているのか、クネクネと体を動かす。
「そんなクネクネしとらんわ！」
　……ん？ふっか？
「久しぶりAちゃん」
「……あ、こんばんは。お久しぶりです」
　翔太くんは私の隣に座り、マスクのせいで目元しか見えないけれど可愛らしい笑顔を浮かべる。
「ここに座るんかい。はぁ……、Aこっちはふっかさんな」
「こんばんはー」
　康二くんが諦めたように私に紹介すると、ふっかさん……深澤さんは私に頭を下げながら康二くんの隣に座った。
「いや、しょっぴーもやけど座る場所おかしない！？」
「初めまして深澤さん」
「いやAも流さんとって」
　康二くんが華麗なツッコミを見せる中、私もご挨拶。
「深澤さんって久しぶりに言われた気がする」
　ひとしきり笑うと、結局私がふっかさんと呼ぶことで話は落ち着いた。