白衣の天使じゃないけれど (ページ12)

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「……ヤキモチ妬いちゃった」
「うん」
「……あのアイドルの人可愛かったもん……」
「Aのほうが可愛い」
「そんなことないよ。私は……ただの一般人だもん……」
　声が段々小さくなって、ついに言いたくないことまで言ってしまった。
「知ってたよ、Aがヤキモチ妬いとるの」
「えっ！！」
　私は弾かれたように、康二くんの抱擁を解いて顔を見る。
「テレビとかで、同世代の女の子おったときとか嫌そうな顔してるもん」
「……うそ……」
　気が付かなかった。
　私は今日ネガティブ日和でそうなってたのかと思ってたのに。
「あんな、Aが思うとる以上に俺Aのこと好きやで。いつ言うてくれるんかなー思うてた」
　康二くんはまるで嬉しそうに微笑むから、私勘違いしちゃうよ。
　わがまま言っていいの？
　ヤキモチ妬いていいの？

「まぁ唯一気になるのは一般人やらアイドルやらで線引かれることやな。Aは最初、アイドルって知らんで好きになってくれたんやろ。そのままでおって。俺も変わらずAのこと好きやから」
　そうだ、私はアイドルモードの康二くんじゃなくて、こういう普通のときの康二くんが一番好きだった。
　私が線を引くことで康二くんとの出会いも、康二くんを想う気持ちを否定してしまう。
　そんなこと、絶対に嫌だ。
「それに、俺だって一緒やで。Aの仕事中のこと何も知らん。変な男おらんかなとか思うよ。」
「そんなのいないよ」
「そうは言うても心配なのは心配やし、気になるんや。……ほら、一般人もアイドルもなーんも変わらんやろ。俺だって、周りに可愛い子がおっても綺麗なお姉さんおっても、Aがええんよ。Aしか見てない」
　どうしよう。
　そんなの嬉しすぎるよ。
「へへ……私幸せ者だ」
　ぽろぽろと流れる涙は嬉し涙。
「あーもう、擦ったらあかんよ」
　涙を拭う手をそっと取られ、ギュッと握られる。

「そうは言うても、また不安にさせるかもしれん。そん時はまた言うて。絶対隠さんで。」
「……うん」
　ギュッと私から抱きつくと、康二くんは優しく抱きとめてくれる。
「……なぁ、一緒に住まへん？」
「え……？」
「一緒におって。あんな格好つけたけど……俺も寂しいんよ」
　康二くんの顔を見ると、眉を八の字にしてさっきとはうって変わり可愛らしい表情に。
　あぁ、やっぱりこの人が大好きだ。
「私も一緒にいたい」
　そう答えると、康二くんはファンの人も知らないような嬉しそうな笑顔を見せた。