めぁりぃのLIVEなレポ短編集

06 北 ページ17

「食い気味ですね〜〜。」




「逆にどうですか？」




冷静に返したのに
今度は、逆に調子を聞かれてしまった。
藤ヶ谷がこんなに楽しそうにしてるんだから
俺だって楽しいに決まっている。




だから、



「最高ですっ！………………今日は肉が食べたい気分です。」





気分だけだと在り来たりだと思い
少し考えてから
食べたい物も付け加えると




「ごちそうさまですっ！」




「…………おごりですか？」




ちょっと間があったかもしれないけれど
咄嗟に返した。
でも…………心の中じゃ
スゲードキドキして
えっ？一緒に焼肉行くって事？今日？
嘘…………
そんな言葉が続いていた。




このまま、
この会話を続けてみたい気持ちもあったけれど
そんな事をすると
これから2曲を披露する予定なのに
俺の心臓が持ちそうになかったから




「……冗談はさておき曲に行きましょうか。」




冗談って事にしてしまった。
本気にしていた癖に…………





必死でドキドキする心臓を抑えながら
しっとりとバラードを歌いきり
次は、去年のユニット曲の披露だ。





サビで手を絡め顔が近付いた時に
さっきの会話が頭をよぎり
何時もに増して鼓動が早くなり
身体も熱くなっているのを感じた。




そして、
その熱くなった身体のまま
フィナーレへ向けて全力でデビュー前の
懐かしい腰振り曲をやりきり
バックステージで特攻や炎を使った演出曲で
更に心も身体も熱くして
本編最後の曲へと向かう。




フライングをしながら
また、
会場を見渡しながらメインステージへと向かい
降り立つと
会場中で手を繋ぐ演出で
隣にいる藤ヶ谷にマイクを持っている手ごと
しっかりと握られ




もう〜〜どうしたんだよ？藤ヶ谷？
お誕生日会のケーキにしたって
個人的なプレゼントも
手を繋ぐのだって今までだったら
こんなにガッチリ繋いだりしなかっただろ？
さっきの焼肉のくだりだって……
これは何？これはどういう意味？





本気で勘違いしちゃうよ……俺
いや、もうしているかもしれない。




ねぇ、藤ヶ谷
今日の公演が終わったら本当に焼肉に
誘っちゃうよ、俺。




丁度、誕生日にプレゼントしてくれた
スマホケースも付け替えて来たし
早速ジーンズも履いてきてるんだよ。




そう心に思いながら
ちょっと離れた場所で衣装変えをしている
藤ヶ谷を見ていた。




よぉ〜〜し。
タブルアンコールまで、突っ走るぞ〜〜




そして、
その勢いで今日の夜は焼肉に誘うぞ！




end

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