バリューセット藤北始めました。

ライバル登場 05 藤 ページ8

この間のPV撮影以来
一緒の仕事がなく
北山とは、会っていなかった。




今日、一週間ぶりに顔を合わせる。




何度か、電話かLINEをしようかと
携帯の画面を開いては閉じを
繰り返してみたけれど
結局、連絡をしないまま今日になってた。




そんな北山は、まだ来ていない。




なんとなく落ち着かない俺は、
気分転換に楽屋を出た。




そして、
特に意味もなく別の階にある自動販売機に
向かっていると
その視線の先には、見覚えのある姿があった。




北山と大倉くんだ。




あぁ、収録が同じ日だったのか…………。
なんでこの階に来ちゃったんだよ。




出来れば、今は1番見たくない光景。





でも、
2人は直ぐに離れて北山は俺のいる方とは
反対方へと行ってしまい
こっちには、大倉くんが歩いて来た。




それは、それで何かがあった訳でもないのに
俺の気持ち的な問題で一方的に気まずい。
それでも、
近くに来た時に同じ事務所の先輩だから
自分から先に挨拶をする。




F「お久ぶりです。お疲れ様です。」




O「おっ、藤ヶ谷くん。お疲れさん。丁度ええとこで会った。話したい事があるねんけど、ちょっとええか？」




F「はいっ、大丈夫です。」




大倉くんが話したい事って
北山の事しかないよな。
何なんだろう？




O「ここじゃあれやから、あっちで。」





そう言われて、後をついて行くと
廊下の隅の人気のない場所へ。




バンっ




そこに着くと突然立ち止まり
こちらを振り返って壁ドンをされ
大倉くんの顔が近いて来た。




えっ？何？
俺、キスされちゃうの？




O「宏光の事、諦めてくれへんかな？」




目の前まで顔を近づけられ睨むような目と
低い声で戦線布告をされていた。




いくら先輩でも、そこは譲れる訳がない。




F「すいません、それは無理です。大倉くんの方こそ北山の事諦めてくれませんか？」




こちらも、負けずに睨み返し応戦をする。




O「なら大丈夫や。宏光の事を幸せにしたってな。」




壁にあった手が降ろされ
今度は、ニッコリと笑って肩を叩かれた。




O「いきなりごめんな。宏光の気持ちは、前から知っとったけど、何年も付き合わへんから藤ヶ谷くんは、好きじゃないのかと思っとった。今のを聞いて安心したわ。」




F「あの……。」




O「俺、フラれてん。でも、飲み友達としてこれからも宏光をかしてな。」




手をヒラヒラとさせながら
1番のライバルだと思っていた大倉くんは
アッサリと引いていった。

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