バリューセット藤北始めました。

初デート 07 北 ページ21

想い出の沢山詰まった
この場所にも
上から聞こえてくる低音ボイスも
ギュっと
俺を包み込んでくれている彼奴の温もりも




その全てに溺れてそうなくらいに
クラクラして立っているのがやっとな程
だけれど




ずっと言えないままでいた
自分の気持ちを
恥ずかしがらずにちゃんと言えたのは




この心地良く吹いている海風が
俺の背中を後押ししてくれて
何度も一緒に眺めた
薄暗い中でもキラキラと光っている海が
俺を見守ってくれていたから。




チュウっ//




そして、
自分から唇と唇を重ねた。




F「初めて北山からキスされた、ここに。」




そう言って、俺の唇を指でなぞっていく。




この後に、
何かが待っているのかを予感させるような
イやらしい仕草。




グゥ〜




グゥ〜




こんなロマンチックで最高の告白の
シチュエーションの中
お腹が鳴った………。




ヤバいっ、台無しじゃん
と思っていたら



それに釣られるように
彼奴のお腹も鳴り




「ぶっ、あっはははは〜〜。」




2人で抱き合ったまま顔を見合わせて
笑ってしまった。




F「お腹空いたよね。よしっ、あれ食べよっか。」




K「うん、食べる。」




想い出の場所で、海を眺めながら
大好きだったおにぎりを食べて
お腹を満たしたところで




あの頃のように、芝生にゴロンと寝転がる。





ギュっと繋いでいる手も
芝生の上もフカフカとしている感じも
この調度良い海風と波の音も
やっぱり、この場所は最高。





F「こうしてゴロンとするの懐かしいね。あの日、手を繋ごう何度も何度も様子を伺ってやっと繋いだの思い出した。」




K「何回か手が当たるなって思ってた。でも、その度にスゲードキドキしたのを覚えててる。」




繋いでいた手が離され
隣にいたはずの藤ヶ谷の顔が直ぐ目の前に
俺の上に覆いかぶさっている。




暗い場所で良かった。




こんな急に顔を近づけられたら
緊張して顔が強張ってのがバレちゃう。




F「ねぇ、今は？手を繋いでもドキドキしない？」




K「今でもドキドキするよ。」




何なら、まさに今
この状況にもドキドキし過ぎて
苦しくて息が出来なくなりそう。




F「良かった。」




チュウっ//




クチュっ//クチュっ//




K「はあぁ〜。」




唇の感触と舌の感触に
藤ヶ谷からする少し甘い香りがプラスされて
脳も身体もトロトロに蕩けていく。




F「このままだとチューだけじゃ……続きは俺んとこで。」




その甘い言葉に無言で頷いた。

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