80話 誘惑、そして不穏 ページ31
戻ってきた杉元さんとアシリパさんは、着替えた漁師に、漁場を案内してもらうらしい。
私の着替えを持ってきてくれたので、いそいそとそれを着て、先に行った2人を追いかける。元着ていた服は絞って持ってきた。ブレザーを絞るという人生初体験も達成したよ
するとそこでは、ちょうど佐一が大きな包丁のような物を振り下ろした所だった。
スパッと音を立ててあっさりと切れたこの塊、なんだろうこれ、説明なくて全然わからない
するとアシリパさんが、囚人の顔を知らないのは危険だから、やはり白石くんを追いかけよう。と提案した。
確かに顔を知らないと、誰が囚人だかわからない。…この人だったりしてー!
…んなわけねーだろ何言ってんの
「あ…あの!食事だけでもどうですか?命を救っていただいたお礼にと言ってはなんですが、親方に話したら温かい白米を用意して差し上げろと…」
「白米…!?」
「はくまい!!」
アシリパさんがじゅるりと涎を垂らし、私の語彙は低下した。白米なんてこっちにきてから初めてだ…
「こちら…身欠けニシンにキャベツ、だいこん、にんじんを米麹で発酵させたニシン漬けです」
結局流されちゃうんだよね、でもこれは仕方ない。白米には誰も勝てないんだよ
「いただきます」
「いただきまーす」
まずは白米を口に入れる。うわ、凄い久しぶりだからか白米がいつも以上に美味い。ニシンもさっぱりしていて美味しい
…食レポ発達した気がする。やったー
「やっぱりニシンはうまい!程よい酸味と麹漬けの野菜の甘味…白米に合うな!こいつはヒンナだぜ」
佐一お前私の後に完璧すぎる。やめて?
「ヒンナヒンナ」
「んんー、ヒンナ!」
私とアシリパさんと佐一、そして男性の間にほんわかした空気が流れる。
「…おーいアシリパさん、ついてるついてる」
「ん!すまない」
「いーえ」
そう言って私がアシリパさんの頬についた白米を摘んでそのままアシリパさんの口に運ぶ。どうなるかなと思ったら意外にもそのまま食べた
この子本当に可愛い
「オソマ行ってくる」
「アシリパさん…お手洗いって言いな?」
躊躇なくオソマって言ったり糞をいじくり回すのも愛嬌…かな…
「ところで旅順へ出征なされたんですか?
どうでした?」
不意に男性が口を開く
「どうって?」
「僕は事情があって出征できなかったんで興味があるんです。…人は殺しましたか?」
その瞬間、周りの雰囲気がどっと暗くなった。…おっと…?何か不穏だぞ…?
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雪羅 - とても面白いです!更新楽しみにしています! (2022年12月4日 10時) (レス) @page13 id: 17d7a074e0 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - パッズォさん» えぇえ!!たのしみにしてます!!!!! (2021年8月31日 13時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - れたすさん» ありがとうございます!二階堂との絡みも勿論予定しております、乞うご期待! (2021年8月30日 18時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好きです!!!モルヒネ依存性になった後の二階堂との絡みがみたいです!!! (2021年8月29日 23時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - ほだんさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです!励みにして頑張ります! (2021年8月25日 22時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パッズォ | 作成日時:2021年8月23日 16時