62話 ユクオハウ ページ13
谷垣さんと話をしていると、どうやら料理が完成したらしい。とてもいい匂いがする
「鹿肉の鍋『ユクオハウ』だ。プクサキナとプクサも入れて栄養たっぷりだ」
ぶつ切りになった鹿肉が入っていて美味しそうだ
「うんうん、ヒンナ！ 鹿肉は煮込んでもヒンナだぜ！」
「たしかにヒンナ」
「んんー、ヒンナヒンナ」
紅葉鍋とはちょっと違うけど、鹿鍋が食べられてよかった。あわよくばこの際北海道の珍味食べ尽くしてやりたいな。
「クックックッ」
不意にアシリパさんがクックッと笑い出した。
「どうした？」
「杉元…またオソマ入れなきゃいいけど…」
「え？」
「？…あ、そう言うことね」
私は完全に理解した。アシリパさんが今何を言っているのか。味噌が気に入ったんだねアシリパさん
「杉元……この鍋にまた……オソマ入れなきゃいいけど…」
「あ……ああ……味噌ね」
言葉の意味に気が付いた佐一が味噌を取り出す。
「ええ〜？ またか？ 杉元お。お前…オソマ好きだな〜。杉元は本当にオソマが好きだなあ？」
「ははは…」
最初あれだけ拒絶していたから素直に食べたいって言えないんだな…
「いででででで！！ なにこれッ！？」
「あ、子グマ」
白石くんの頭に子グマが齧り付いていた。慌てて私が引き剥がし、子グマを抱っこしながら話しかける。
「白石くんの事噛んじゃ駄目だぞ？」
「ハナちゃん…」
私が頭を噛まないように言うと、白石くんが何故か感動した様子でこちらを見て呟いた。
「白石くんなんて噛んだらお腹壊すからな？」
「ひどいっ！！」
「冗談だよ」と笑いながら諭す。こうやって当たり前のようにいじれるくらい気負わないでいい人がいると楽だな
「白石のアタマはなんか甘いのが出てるのか？」
「飴ばっか食べてるからだぞ白石くん。きっと樹液が出てるんだよ」
「オソマおいしい」
鍋の後に出てきたのは、鮭の刺身のようなものだった。
「鮭のルイペだ。これは寒い時期しか食べられない」
「ルイペ？」
一切れ貰って口に入れると、ひんやりと冷たい。口の中で溶けて不思議な感じがする
「おお…思ったより冷たいんだ」
「半分凍っていて不思議な食感だ」
「くちの中でとけてトロトロになる。うまいッ」
「くまの肉や魚を立木にぶら下げて、凍らせたものをルイペと呼ぶ。ルイペは溶けた食べ物という意味なんだ」
アシリパさんがしてくれるルイペの説明を聞きながらルイペを食べる。凍った鮭って食べたことなかったな
「なるほど。寒い土地で生まれた食べ物だから、凍ってるのが基本なんだな」
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雪羅 - とても面白いです！更新楽しみにしています！ (2022年12月4日 10時) (
レス) @page13 id: 17d7a074e0 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - パッズォさん» えぇえ！！たのしみにしてます！！！！！ (2021年8月31日 13時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - れたすさん» ありがとうございます！二階堂との絡みも勿論予定しております、乞うご期待！ (2021年8月30日 18時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好きです！！！モルヒネ依存性になった後の二階堂との絡みがみたいです！！！ (2021年8月29日 23時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - ほだんさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです！励みにして頑張ります！ (2021年8月25日 22時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パッズォ | 作成日時：2021年8月23日 16時
