60話 谷垣さん ページ11
今、小屋で足の肉がえぐれた(不可抗力)兵士の手当をしている。アシリパさんが。
「白樺の幹に穴を開けると、タッニ・ワッカ(シラカバの水)が出てくる。
春が近いと芽吹く準備のためにたくさん水を蓄えるからだ。これで傷を洗う。タッニ・ワッカは、痛み止めと止血の効果がある。
あとは乾燥した松脂を火であぶり、やわらかくして傷口に塗る。止血と化膿に効果がある。
ひとまずこれでいいだろう…朝になったらここを出るぞ」
おお、凄いライフハックだ、覚えておこう。
「本当にこいつを自分の村に連れていくつもりなのか?」
「村ならほかにもいろんな薬があるし、温かいチセの中にいたほうがいい」
アシリパさんの優しさに感動する。すると、佐一が
「こいつ、第七師団だろ?治ったら仲間に俺たちのことを話すかも・・・」
「置いていけ。俺は猟師だ。死ぬときは俺も山で死ぬ」
「ホラ! 本人もこういってることだし、置いていこうぜ」
白石お前薄情な奴だな…出来るだけ助けようよ、ねえ?
「谷垣…といったな? お前、二瓶鉄造が入れ墨の囚人と知ってて行動してたのか?」
あ、この人谷垣って言うんだ…
佐一の質問に谷垣さんは答えなかった。どうしたんだろう、もしかして知らなかったのかな。
そして、何かのきっかけで入れ墨の囚人だと知り、それでも二瓶鉄造といた…みたいな?…まあ全部ただの妄想だけど。
そうだとしたら、そんなこと第七師団を裏切るのと同じ、だから何も言わないのか?
「まあ…俺の相棒がこの男を助けたいというなら邪魔しねーさ。もしそれが裏目に出るようであれば、今度は俺が相手をするまでだ」
そう言って谷垣さんを睨みつける佐一。さっきこの人は自分の事を『猟師』って言ってたから、もう軍に戻ろうとは思ってないのかもしれない。
そうだといいなあ
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雪羅 - とても面白いです!更新楽しみにしています! (2022年12月4日 10時) (レス) @page13 id: 17d7a074e0 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - パッズォさん» えぇえ!!たのしみにしてます!!!!! (2021年8月31日 13時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - れたすさん» ありがとうございます!二階堂との絡みも勿論予定しております、乞うご期待! (2021年8月30日 18時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好きです!!!モルヒネ依存性になった後の二階堂との絡みがみたいです!!! (2021年8月29日 23時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
パッズォ - ほだんさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです!励みにして頑張ります! (2021年8月25日 22時) (レス) id: 1300b6c97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パッズォ | 作成日時:2021年8月23日 16時