九 ページ10
娘に聞けば彼女だけがこの店で働いているらしい。
じゃあ、やはりコイツで間違いないはず。
あの煉獄を堕とした理由を探るため、こっそり彼女の動きを見ていた。
だけど大して目につくような事はしない。
でも話上手、聞き上手なのはこの場にいる他の客とのやり取りでわかった。
それに彼女は落ち着いた雰囲気をしている。
傍にいるとどこと無く落ち着ける。
でも、それだけで煉獄は惚れたのか?
「お待たせしました!天ぷら盛り合わせ定食です」
揚げたての天ぷらと白いご飯、湯気の出た汁。
確かにこれは
「おぉ、美味そうだな。」
俺がつい零すと娘は嬉しそうに笑った。
笑うと可愛らしさが増すな。
「ごゆっくり」
「あ、待ってくれ。聞きたいことがあるんだよ」
今なら他の客に邪魔されたりしずに今回来た目的が聞ける。
「聞きたいことですか?」
「おう。お前さんさ、ここに図体デカくて声もデカくてどんだけ食べるんだってくらい食べて、しかも食べてる時に美味いって大声で言いながら食べるヤツ来てねぇか?ほぼ毎日来ているような常連客だとおもうんだけどよ」
こんなけ印象に残る男だすぐに分かるだろう。
と思ったが、
「うーん、そんな大声出す方は見たことないんですけどね……」
は?嘘だろ?
「おかしいな…この店だって聞いたんだが……髪色が派手で目ん玉飛び出るんじゃないかってくらいデカいんだよ。知らないか?……炎みたいな羽織りを着て刀持ち歩いてるヤツだから顔を覚えるの苦手なヤツでも何度も通っているから嫌でも覚えると思うんだがな」
鴉のヤツ主人の秘密を守ったのか?
餌付けすればすぐ尻尾振ってきたのに。
俺がそんな事を考えていたら、娘は少し迷いながら口を開いた。
「合ってるか分からないですけど、一人なら所々一致している方がいらっしゃりますよ」
「所々?…とりあえずどんなヤツだ?」
全部一致していないと煉獄じゃないんだけどな。
「その方は毎朝お日様も完全に登ってない頃にやって来て、お客様の言った通りの格好で、ちょっと多めに注文をして、食べてる時に小さく上手いと呟くように言ってくれ、小さな声でよもやってよく言われるんです。」
「よもや?」
それ、絶対煉獄だろ。
声が小さいとか考えられねぇけど、よもやなら煉獄だ。
食べる量はちょっと多め程度で、声小さいとか、そんな煉獄杏寿郎見たことねぇがよもやなら煉獄だ。
間違いない。
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me(プロフ) - 星流さん» ありがとうございます!涙を流せてもらえたなんて…!本当にありがとうございます!嬉しいです! (2020年8月24日 15時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
星流 - 必読の後からボロボロ涙こぼしながら読みましたぁ。なんかもう面白いけど涙止まらなくて両親に不思議な目で見られましたwこれからも応援しますね!! (2020年8月23日 17時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - りなおさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!キュンキュンしてもらえてよかったです! (2020年8月17日 20時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
りなお(プロフ) - とてもキュンキュンさせていただきました…!本編もこぼれ話も泣いてしまいました(TT)素敵な作品をありがとうございます!続きも、楽しみにお待ちしております。 (2020年8月16日 3時) (レス) id: 712037cba2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - ママよさん» ありがとうございます!お待たせさせすみません。 (2020年7月12日 18時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:me | 作成日時:2020年4月27日 17時