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こぼれ話〜とある男の話〜 ページ31





またアイツは新しく子供が出来たそうだ。

そんな話を噂で聞いた。

確かこれで4人目じゃなかったか?

まぁ、もう自分も三十になる。逆に結婚していない自分がおかしい事くらい分かっている。


噂で聞いたアイツ、同い歳の友人にまた祝い物を渡さねばと考えていた時期の話だ。






そんな時期に起こった、何年経っても忘れられない俺の思い出話にちょっと付き合ってくれ。






あの日は年老いた両親は数年前に逝ってしまい、本当のひとりとなった独身男の暇つぶしに始めた店の食材集めに近くの山へ夜明け前に向かった日の事だ。


まだ夜明け前の山は薄暗く昨日の夕方頃に雨が降っていたからか危険な道になっていた。

何度もこの山に登った俺でもちょっと採ってすぐ帰ろうと思うくらいだった。



彼女はそんな薄暗く足元の悪い山の中に居た。



目に見えて酷い怪我をした彼女は荒い呼吸をしながら倒れていた。

熊にでも襲われたのかとを慌てて彼女を運んだ。

背負った彼女は見た目よりも重かった。華奢な体に見えて筋肉を立派につけている事は背負う際分かった。


医者を呼んで彼女を急いで治療すると、医者からもう少し遅ければ危なかったかもしれなかったと言われた。

たまたま今日の食材選びに行ったのがよかったのだ。



暗くて汚れていたあの場では分からなかったが、日の下で見た彼女は若く可愛らしい顔立ちをしていた。



目を覚ました彼女は傷が完全に治っていないのに礼を言って出ていこうとした。

慌ててそれを止め、治るまでここに居るよう言った。

だが、独身男の元に年若き娘が一緒にひとつ屋根の下と言うのは外見が悪いし、彼女も嫌だろ。

だから医者に彼女を預かってもらった。医者には仲のいい奥さんが居るから彼女も安心なはず。

医者は怪我人をほおっておくわけにもいかないし、あまり使い道のない金も渡したから大丈夫だろう。





それから1週間ほど経った頃だろうか?


彼女が俺の元に現れた。


「お医者さまに貴方が色々とやってくださったと聞きました。本当にありがとうございます」


初めて会った頃よりだいぶ良くなったらしい彼女が深く頭を下げた。


「家族は居ないし、俺には大して物欲がないから金は特に問題なかったし、気にすることではない。」

「そうだとしても!...あなたにお礼をさせてほしい」


儚げな雰囲気をしているが、中身はそうでもないようだ。

こぼれ話〜とある男の話〜→←第一章 あとがき



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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me(プロフ) - 星流さん» ありがとうございます!涙を流せてもらえたなんて…!本当にありがとうございます!嬉しいです! (2020年8月24日 15時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
星流 - 必読の後からボロボロ涙こぼしながら読みましたぁ。なんかもう面白いけど涙止まらなくて両親に不思議な目で見られましたwこれからも応援しますね!! (2020年8月23日 17時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - りなおさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!キュンキュンしてもらえてよかったです! (2020年8月17日 20時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
りなお(プロフ) - とてもキュンキュンさせていただきました…!本編もこぼれ話も泣いてしまいました(TT)素敵な作品をありがとうございます!続きも、楽しみにお待ちしております。 (2020年8月16日 3時) (レス) id: 712037cba2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - ママよさん» ありがとうございます!お待たせさせすみません。 (2020年7月12日 18時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:me | 作成日時:2020年4月27日 17時

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