小さなよもやさん

十 ページ11

俺の知っている煉獄じゃないから疑ったが、相手が好きなヤツで緊張してそうなってるって言うなら面白い。


これだけで十分面白いと思っていたのに、次に娘に教えられた言葉で吹き出してしまった。




｢私はその方の事をこっそり小さなよもやさんって呼んでるんです。｣




あの図体も声もデカい男が小さなよもやって呼ばれてるのかよっ！


これは思っていたよりも面白い話がもっと聞けるかもしれない。


そう考えて娘を話し相手にさせ料理に手を付けた。



これは確かに美味いな。





｢その小さなよもやさんってのが俺の言う特徴に所々当てはまるヤツってことなんだよな？当てはまる所と当てはまらない所教えてくれよ｣



｢当てはまる所は、まず見た目ですね。服装とか髪色とか｣



｢それだけなのか？｣


｢ピッタリ一致してるのはそれだけですね。違うのは驚く程ものすごく食べることと、声の大きさですね｣



｢でも、そいつよもやって言うんだろ？｣



｢えぇ、口癖だと思いますよ｣



ニヤニヤしながら飯を口に入れる。



｢小さいよもやさんってお前さん呼んでいるんだろ？本人の名前は知らないのか？｣



煉獄のやつ名前も教えられてないのか？


そんな初心なやつだとは思って無かったんだがな。



｢最近少しお話出来るようになっただけで、それまでは無口な方でしたから話がかけられるのは苦手かなと。今でも話してる最中に固まられたり、あの大きな目をキョロキョロさせたかと思えば急ぎ気味に店を出てかれたり｣




｢ふっははは！｣



もう耐えきれねぇっ！煉獄が無口っ！？しかも照れて早足で出てく！？


想像しただけで腹が痛くなるほど笑ってしまう。

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