【ヒプマイ】こんな乙ゲー聞いてない

第9話 ページ10

そういう訳で萬屋ヤマダに来てしまったのだが。



「どうしました？何か、言い難い悩みでも？」

「あ、え……、」



目の前に山田一郎が座って、悩みを聞こうとしてくれている。

そんな、悩みなんて全然ないのに…もはやここに来て解決したと言うか。


ウンウンと唸りながら何を言おうか迷っていると、「どうぞ」と横から手が伸びた


ふとその手の主を見ると、綺麗な顔立ちの山田三郎が居た。


そして、あることが脳に過ぎる




「あの……」

「はい」

「もし良かったら、‪”‬碧棺左馬刻‪”‬さんについて調べて欲しいんです」

「左馬刻……？」




私が山田一郎の目を見てはっきりとそう言えば、彼はピクリと眉を動かす


山田三兄弟が敵視している人、それは横浜のグループであるMAD TRIGGER CREW

そしてリーダーである碧棺左馬刻は、山田一郎が一番嫌いと豪語している人だ



……まあネット情報なんだけど。




「どうして、俺に？」

「え？貴方が萬屋だからですけど…」

「彼なら有名人だし、俺が調べるまでもないと思うんですけど」

「もしかして、依頼を断るつもりですか？」




ニコリと笑って言えば、山田一郎は嫌そうな顔をした。

私にでは無く、頭に思い浮かぶ碧棺左馬刻にだろう。



本当は「もし良かったら貴方たちのこと、それから渋谷と新宿のグループについても教えてくれませんか？」と言いたい所だが、一度に沢山のことを聞いても疑われるだけ。


ここは、慎重に。

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