ブラスバンド・フレンド！ (ページ9)

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9.兄side ―入部― ページ9

次の日の放課後、俺はしおりと一緒に入部届けを提出した。

同時に手渡されたパート希望用紙にはもちろん“パーカッション希望”と書き、パート室である楽器倉庫へと向かった。

倉庫の奥では、俺以外のメンバーがすでに練習を始めていた。

入部届けを提出し終えた羽鳥さんもいる。

鼓「律くん、来てくれたんだ！
早速だけど、どの楽器から練習したい？」

律「えーと、ドラムやりたいです！」

鼓「ドラムなら、私が教えるね。
ちょっと待ってて、渡したいものがあるの」

そう言って、先輩は部屋を出ていった。

待っている間、俺は他の2人が練習している様子を見ていた。

湊先輩は後輩に教える気はないようで、ティンパニを練習している。

ときどき音程を確かめながら大きなマレットで叩く先輩は、やる気のなさそうな普段の表情とは違い、迫力があった。

羽鳥さんも、1年生とは思えぬ速さで小さな木琴を鳴らしている。

この楽器がシロフォンというのだろうか。

2人のレベルの高さにあっけにとられていると、勢いよく扉を開けて鼓先輩が入ってきた。

鼓「律くん、おまたせー」

鼓先輩が持ってきてくれたのは、丸くて平たい形をした練習用の黒いパッドだった。

トレーニングパッドというらしい。

鼓「これを、リズムに合わせて叩くことから始めるの」

タン、タン、タン…

先輩のスティックが、メトロノームに合わせ正確なリズムを刻んでいく。

鼓「ほら、律くんもやってみて」

俺も両手にスティックを握りパッドを叩くが、なかなかリズムに合わせられない。

鼓「もっと力抜いていいよ。
スティックは下のほうを持って…」

隣で、鼓先輩が優しく教えてくれる。

30分ほど練習し、今日の部活が終わる頃には、俺は速いテンポに合わせられるようになっていた。

鼓「律くん、すごい上達したね！
これならすぐにドラムできるようになるよ」

律「はい、がんばります！」

俺は入部したばかりだが、ドラムを叩くという目標に少しだけ近づいた気がした。

――作者――――――

律も、ようやく入部しました…
次回からは久しぶりに主人公のしおりが登場します！
お楽しみに！