ブラスバンド・フレンド！ (ページ6)

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6.兄side ―憧れ― ページ6

ある日、しおりはずっと不思議に思っていたことを聞いてみた。

しおり「律は、どうして吹部に入ったの？
サッカー上手なのに」

律「えーと、それは……」

説明するには、4月までさかのぼらなければならない。

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― 4月入学式当日 ―

友達「律、俺ら何部入る？」

律「運動部に入るつもりだけど…」

友達「だよな、一緒にサッカー部入ろうぜ！」

律「ああ！」

入学式が終わると、クラスの話題は部活のことで持ちきりだった。

俺も最初は、サッカー部に入るつもりだった。

小学校からサッカーのクラブチームに入り、仲がいい友達からも誘われていたからだ。

だけど、次の日の“部活紹介”とかいうやつを見て、俺の考えは変わった。

俺たちは体育館に集まり、いろんな部活の発表を見ていた。

その中で、黒ズボンにワイシャツ、ネクタイをつけたかっこいい衣装の人たちが楽器を用意し始めた。

吹奏楽部だ。

小柄な女の先生が台に乗り、指揮をふった。

とたんに、明るい音楽がはじけた。

曲名とかはよく分からなかったけれど、何かのマーチかな。

どの楽器も上手だったけれど、俺の目を釘付けにしたのはドラムだった。

女の先輩だけど、正確に、そして力強くリズムを刻んでいて、すごくかっこよかった。

その時、俺はサッカーのことなんか忘れて、『吹部に入って、ドラムやりたい』って思ったんだ。