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「………あ、あぁ…」
彼に笑いかけると、なんとなく素っ気ないような返答をされ、ふいっと目を逸らされる。…まただ。
最近、デュースと目が合うと、すぐさま逸らされるようになった。
…分かっている。
意地悪でそういうことをされている訳では無い。
それは分かっていた。
元より、デュースはそんなことをする人じゃない。
けれど、あからさまな態度の変化に、私は胸騒ぎがしていた。
こういう時に決まって思い出すのは、あのカフェでの出来事。思えば、あの時からデュースの態度は変わり始めたのだ。
もやもやした思いを抱えながら、デュースの背を追って階段を上る。
ピンと伸ばされた姿勢の良いデュースの背中。見慣れたもののはずなのに、知らない人の後を追い掛けているかのような気分になった。
エースが座っている場所に歩み寄ると、エースは座席のど真ん中に腰を下ろしていた。
「ねね、めっちゃ眺め良くね?」
「…本当だな。」
中々座れない最後列の席にテンションが上がっているエース。
その隣に私が腰をかけると……デュースはわざわざ私の隣を避けて、エースを挟むように反対側の席に腰をかけた。
…明らかに、避けられている。
「………では、本日はここまで。
期末試験の出題範囲は、今回取り扱った単元も入るので、きちんと復習をしておくように。」
トレイン先生はそう言い残して教室を後にする。
その瞬間、静まり返っていた教室内か嘘かのように一気に賑やかさを取り戻した。
本日最後の授業が終わり、教室を埋めていた生徒達は、続々と寮へ帰る支度を始めている。
「……はぁ〜……つかれたー。」
背もたれに体を預け、大きく伸びをするエース。
その向こうでは、大慌てで板書を書き写すデュースの姿が見えた。
膝の上には、クルーウェル先生の躾から開放されたグリムがいた。1時間近く説教されていた訳だ。途中参加の形で教室に入ってきたグリムは疲労を顔の全面に押し出し、ストレスからか、ツヤツヤだった毛並みは、捨て猫のようにボロボロになっていた。私たちの顔を見て安心したのか、今はへそを天に向けてぐーぐーと眠りについている。
エースは、ぐいぐいと体を伸ばしたあと、ゆっくりと体を起こし、デュースや私の方を見つめた。
「なぁ、この後暇?」
「あぁ、特に予定は無いが…」
「大丈夫だよ。」
私たちの返答を聞いたエースは白い歯を見せてニッと笑った。
「おーし、
じゃ、また行こうぜ、カフェ。」
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作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時