【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ6)

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境界線は、溶けていく。ページ6

【エー監、デュ監】

「俺達はマブだかんな！」

乱雑に肩を抱かれ、咄嗟に顔を上げれば。

少々意地が悪いが、要領がよく意外にも情に厚い赤色と、優等生を目指す、生真面目で真っ直ぐな青色が。

2人揃ってニカッと太陽のように眩しい笑顔を浮かべて、こちらを向いてくれる。

_____"マブダチ"。

"気の置けない友人"を意味するこの言葉はまさに、私達の関係を指すのにぴったりだった。

思い返せば2人は、私が男子校(ここ)にやってきた時から、魔力すらない、何処の馬の骨かもわからない女の私を腫れ物扱いするでもなく、同級生として対等に関わってくれた。
異性であることすら忘れてしまうような、遠慮のない2人の歩み寄りがとても心地よくて、ありがたかった。

私は少々暑苦しいこの関係を、心の底から愛おしいと思っていたし、大切にしたいと思っていた。

だって、今の私があるのは、2人がマブでいてくれたから。

学園の問題を協力して解決して、時にはいざこざがあってぶつかり合って、楽しいことも悲しいことも苦しいことも一緒に経験して…

そうやって築き上げてきた私達の信頼や絆は、そう簡単に崩れることはない。

だから、"友人"という枠の中できっちりと線引かれたこの関係さえも、いつまでも均衡を保ち続けるものだと思い込んでいた。

…そうであって、ほしかった。

ある日の放課後。

特に予定のなかった私達は、期末試験に向け、行きつけのカフェで勉強会を行うことにした。
店内に足を踏み入れれば、窓側のカウンター席が運良く三つ空いていたので、そこに座った。
端っこの席から、エース、デュース、私の順で。

「…はいストップ。ここはこの公式を使うんだっつの！」

「ん？これはこうやって解くんじゃないのか？」

「はぁ？それは条件が合わないから使えないって、さっき説明したんだけど…俺の話聞いてた？」

呆れた顔でテーブルの上に突っ伏すエースと、顎に手を当て、うんうんと頭を悩ませるデュース。
もう何百回と見たその光景に思わず頬が緩む。
夕焼けの光が差し込み、オレンジ色に照らされる2人を微笑ましい気持ちで眺めていた。

「…聞いてはいた。
Aはどう思う？ここの問題は解けたか？」

突然、デュースがくるりとこちらを振り返った。

艶のある青みがかった黒髪がサラリと流れる。
私の手元にあるプリントを覗き込む為に、テーブルに手を置き、ずいっとこちらに身を寄せてきた。