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先輩の、形の良い唇がゆっくりと弧を描く。
白く鋭い犬歯が、キラリと輝いた。
…あ、この人、なんか悪いこと考えてる。
そう気づいた頃には、時すでに遅し。
気づけば私は真横を向かされ、髪を払いのけられ…
剥き出しになった自分の耳を先輩の前に差し出していた。
「…あぁ、そういえば、俺も気になってたんスよねえ、ニンゲンの耳。こんな近くで見るのは初めてだなぁ」
「ひっ…!?」
くすっ、と笑った先輩の吐息が耳に掛かり、ぞわりとした感覚が背筋を走る。
「……よく見ると複雑で面白い形をしてるんスね…
硬いところと柔らかいところがあって……その真ん中に小さな穴があるんだ……」
先輩の親指が、耳の形を確かめるようにゆっくりとなぞっていく。外気に触れて冷たくなった耳朶が、暖かい指先に挟み込まれ、無意識にぴくんと肩が跳ねる。
「触り心地は……悪くないっスね。
子兎の腹みたいにふにゃふにゃだ。
……思わず噛みつきたくなる」
すりすりと何度も執拗に耳を触られ、私はようやく今の状況を理解した。
……も、もしかしてこれ、さっきまで私がやってたことをやり返されてる……?
さぁっと血の気が引く感じがして、やんわりと先輩の胸板を押し返す。
すると突然、ズンっと下半身の上にラギー先輩の腰が落とされた。
「おわっ…!?」
「……あーこらこら、大人しくしろよ?
俺を安く見た事、
絶対後悔させるって決めたんで。
今からたーくさん恥ずかしい思いしてもらうっス。
…まぁ、それが嫌ってんなら………」
先輩の身体が預けられた太腿の上。
制服のスラックス越しに突然、熱くて硬い何かが押し当てられた。
その正体を悟った瞬間、私はひゅっと喉が鳴った。
「…
もふもふの耳、鋭い牙。 end
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作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時