ラズベリームースと、それから。 (ページ24)

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タクシーに2人で乗り込み私の家の場所を伝える

隣同士、
タクシーの揺れで手が触れ合いそうになりながら
無言の時間が続く

手が触れそうだな、なんて意識しちゃってるの
多分私だけなんだろうなと

頬に触れられた時といい今日は宮近くんのことを
つい意識してしまうことばっかりだった

「Aちゃん」

急に名前を呼ばれ勢いよく振り向く

「な、なに？」

「そんな驚かなくても(笑)
また会おうね、会いたい」

そう言ってそっと手が重なる

驚いて離そうとするけれど、
夜で暗いし、タクシーの運転手さんは
もちろん前を見ているから、と

たくさんの言い訳を並べてそのままでいた

「…うん」

結局、
私の家に着くまで重なった手が離れることはなく

ただ私の心臓が高鳴るのが止まらないだけだった