ラズベリームースと、それから。 (ページ18)

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「いや大したことじゃないんだけど…
いま、元彼に荷物全部返した、ぜーんぶ終わった」

「…そっか」

「終わっちゃ…あれ、ごめん」

終わったという事実を口に出すと
目から溢れるものが止まらず困惑する

「Aちゃん…」

「ごめっ…ごめん、ちゃんと宮近くんには
伝えておきたかっただけなの」

「Aちゃん、俺仕事終わったらさ、」

宮近くんが何かを言いかけた途中で
＂海斗ー？＂と呼ぶ声が聞こえる

「ごめん、仕事だよね！明後日楽しみにしてる！」

「あ、ちょっと待っ…」

一方的に電話を切り天井を見上げる

宮近くん、なんて言おうとしてくれてたんだろ

「会いに来てくれるとか？…ないない」

絶対にない夢のようなことを1人呟き
自嘲気味に笑う

正真正銘、全て終わったから
明後日の宮近くんとご飯を楽しもう

カレンダーアプリの予定を眺めていると
通知音が鳴り響く

＂さっきはごめんね、落ち着いた？＂

＂悲しい時とかはいつでも俺を頼ってよ。
伝えてくれてありがとう、嬉しかった＂

優しいメッセージにまた鼻の奥がツンとする

涙腺馬鹿になっちゃってるなと思いながら

＂明後日はたくさん飲むぞー！＂と、明るいスタンプと共に返信し私物の片付けを再開した