紫苑の花言葉【twst】 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:4,504 hit

X ページ12

ユウside

突然耳元で囁かれた。美しい容姿と声、それに妖艶(ミステリアス)な雰囲気。そして、とてもいい香りがした。何とか堪えたものの、これで即堕ちする人は何人いるのか。

けれどやはり僕は固まってしまった。

僕の事情？僕が異世界から迷い込んだ魔力の無い人間ってことを知ってるのはグリムやエース、デュース、学園長や食堂で合流したダイヤモンド先輩とクローバー先輩。

既に学園長が教師陣に事情は話してるだろうから、教師陣は知ってるだろうけど、エースとデュースのハーツラビュル以外の寮生にまで噂が行き届いてるとはたった1日2日の出来事とは思えない。

エース「ちょ、ユウと、近....」

リリア「シアンよ、赤子同然の子を揶揄うでない。」

シアン「揶揄いではありませんよ。この子が抱えてる事情は、少し私と似てるような気がして。似た者同士、やはり助け合おうかと。」

ユウ「似てる....？シアンさんも異世界から....？」

シアン「いや、生まれも育ちも茨の谷だから、異世界じゃないよ。まぁ、いつか話すよ。お昼時にお邪魔したね、また授業で会おうか。」

そういい、シアンさんはヴァンルージュ先輩と共に元いた場所に戻った。

デュース「なんだったんだろう、あの人たち....」

ケイト「うーん、リリアちゃんは少し不思議というか、おじいちゃん？みたいな感じはするけど、シアンちゃんだっけ？あの子はもっと不思議だなぁ」

トレイ「なんて言えばいいのか、あの子は見た目はリリアと同じぐらい....もう少し幼いぐらいなのに、俺らより人生経験豊富というか....」

ケイト「裏がありそうってこと？」

トレイ「語弊があるかもしれないが、まぁそんなところ....だな。別に距離を起きたいとかではないが、抱えてるものが溢れてる気がする。」

でも1つ不思議に思った。

僕はグリムと2人で1つとはいえ、魔力は無い、元の世界に帰れない。衣食住も整ってなかったから、学園長や教師陣の慈悲で僕の在学とオンボロ寮の住み込みが許可されてるようなものだ。

でも、シアンさんは女性だ。女性の顔してる男性ではなく、声も身体も雰囲気も仕草も、全てが一流と言える女性だ。

確かに、魔力も無い僕が言うのもあれだけど、彼女からは凄いオーラを感じた。彼女が言う似た者同士は、彼女から見た僕の評価かもしれない。でもきっと、彼女の方が重いものを抱えてるはずだ。

気になって、食事が喉を通らない。