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怯えながら俺の腕に触れた、あの震える手が、妙に気になってしまった。出会ってすぐにお別れ、なんて、そんなのありえないって、直感してしまったんだ。
去っていこうとする彼女は、肩より少し上の短めの黒髪が揺れて、そこからふわっと優しい香りがした。普段相手にする、きつめの香水なんかじゃなくて、もっと自然な、落ち着く香り。
どことなく、年上だろうと思った。ビビりながらも意志を持つ瞳や落ち着いた佇まい、太陽を知らないような白い肌に薄化粧が透ける。
｢、デートしてくんない？｣
なあに言っちゃってんだ、もう一人の冷静な俺が、どこかに言う。ただ、逃がしたくなくて。俺らしくもない、正直焦っていた。
それくらい必死だった。
逃がせばもう、きっと出会わない。住む世界が違う女。驚いたおねえさんは、思い切り後ずさりをしていた。それが、俺の何かを擽る。
｢え！、え、…え？｣
｢だーかーらー、デート！したことあるっしょ？｣
｢…｣
｢…まさかねえの？｣
…あ、今むっとした。それがかわいくて笑ってしまう。そして、かわいいと思っている自分に驚いてしまう。
…これ、だめだ。たぶんすきだわ、俺。
寄ってくる女の相手ばかりしていたから、そういうの久しぶりかもしれない。絶対に逃がしてやらない。薄くほくそ笑んだ俺を、葵ちゃんは知らない。
｢ハンカチは、そんとき、な｣
｢…や、やっぱり大丈夫です…ハンカチなんて！｣
｢あ、そう？…ここ、名前書いてあんね、葵って。だーれの字い？｣
｢…っ｣
｢大人になって、こんな名前書かねえよな。渡されたとき、皺なくきれーいなってたし。ガキの頃からの、よっぽどのもんなんじゃねえの？｣
｢お、おばあちゃんがくれたの、…だから｣
｢……｣
｢か、形見、みたいなもので、大切なの…！だから、返して｣
｢…デート、してくれたらな？｣
｢……っ｣
｢人質、させてもらうわ｣
これ、と、血に染ったハンカチを見せると、葵ちゃんはきっと俺を睨んだ。それがたまらなく唆る。
｢だーいじょうぶだって。ちゃんと返すから、｣
｢卑怯…！｣
｢…必死なの、｣
｢え、？｣
｢こうでもしなきゃ、もう葵ちゃんと会えねえから｣
驚いた顔が赤く染る。年上なのに、かわいくて、つい頭を撫でてしまうと。さらに真っ赤になった、このひとは、どこまでも無垢だと思った。
逃がす気がないから、デートって名目で、鳳仙に連れていくと決めた。
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aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです＊甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます！更新がんばります＊ (2019年11月20日 16時) (
レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです！あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです！これからも愛読させていただきます！ (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます＊すっごくうれしいです！私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします！ (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします！私的に小田島くん小説で一番大好きです！更新ファイトです！ (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…！更新お待ちいただけるとうれしいです＊ (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年11月12日 22時
