過去編3 後編 ページ15
「私は今まで、
退屈は私の平和を
保つものと思っていたのに…」
そんな「退屈」が私にとって何故か
苦痛に感じ初めているのような気がするのだ。
「…俺は平和とは無縁だな。
つい最近は、近くにある星を
いくつか更地に変えてやった。」
「…あの…人が困っているのに…
そういう感じの影響してくるような言葉は
あまり私の前で言わないで欲しいな。」
少し突き返す気味で
私が言ってしまっているあたり、
彼のその話に興味を感じてしまったのは
明白だった。
「しかし…」
私という人物性を知っているのであれば
それに気づかないふりをするのが優しさなのに、
彼は知っていながらわざと口にする。
「お前の目は
そうは言っているように見えないが?」
「…あー、だめだ…やめろ〜。」
耳を押さえて目を閉じた私。
もし、それを自覚してしまえば
きっと私はこのままここで寝転がる人生に
満足出来なくなってしまう。
「…ふむ。」
その時彼は何を思ったか、
「A。」
無理矢理、私の手を掴んで来たのだ。
「な、何をす、」
抵抗しようと私が力を込めたが、
それは意味をなさない。
あ、そういえば…こいつ、
他の奴と比べてもっと「異常」だったわ…
「ッ?!」
目を開けてみたら
物凄い近距離で凶悪顔という言葉こそ似合う
彼の顔があり、ばっちり私の視線は彼の
その緑の視線に絡め取られていた。
「…俺はお前が気に入った。」
まるで逃がさないぞ、とでもいうかのように
一ミリたりもその視線を逸らそうとはしない。
そして彼の口は何が面白いのか
とても綺麗に歪められていたのだ。
「だから良い機会だ。
退屈を感じているお前に
素晴らしい話をしてやろう。」
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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年9月16日 22時