弟の面影 後編2 ページ50
「…、」
「いや、さ。
急なんだけど、
こう言う時しか言えないから言っとくわ。」
そう言うなり彼は
墨のように黒い瞳の視線を私を合わせる。
「俺、ちょっと思ったんだけど。
なんか姉ちゃんって、
救いたい、救うって一々…
確認するみたいに言うわりには、
実は具体的なこと考えてないよな？
あやふやな感じのまま
終わらそうとしてるだろ。」
「…、は」
「やっぱりな…
絶対にわかってないよな。
そんな感じしてたんだよ。
いくら口調を変えようが
姉ちゃんらしい所は根本的に
かわらねぇって事だよな。」
少し嘲笑するように彼は
鼻を鳴らした。
「それに
いつのまに姉ちゃんは自分のことを、
そっちの世界の住人って錯覚してんの？
それすらもおかしくない？」
私とは違う黒髪を
彼は呆れたようにため息を吐きながら
後ろへとかきあげると、
「最初から
姉ちゃんはこっち側だろ？」
そこには真っ赤な瞳が二つ、
私を見据えていた。
「堅実に一つ一つ目前の事からだっけ？
その目前の事からずっと
目を背け続けてる姉ちゃんは
本当にその言葉の意味を理解してるのか、
俺には疑問だわ。」
「私は…私は目を背けてなんか…」
「それって本当か？」
こいつは昔から顔だけじゃなく
頭も一丁前によかった。
だからこそこう言った言い方を
するわけだけど…私自身
そんな含むような言い方は好きじゃない。
まるでおちょくられているような気分がするんだ。
「何が言いたいか、
はっきり言いなよ。」
「まぁ、
わからないなら
その時が来たら理解するよ。
だって、ほら…もう間近なんだし。」
私の言葉を遮って
そう言うなり彼は少し下へと
視線を落とした。
「あー、なんかこれ。
絶対に当て付けだよな。」
そして自虐的に笑う。
「ハハハ、
なんか虚しくなってくる奴だわ。
ごめん。
姉ちゃんは何も悪くないよ…」
とても切なそうに…
寂しそうな表情をする弟に
私は心を締め付けられる思いだった。
「ーー！」
彼の名を呼んで
手を大きく広げて抱きしめようとした。
けど、
それは夢でしかない故に叶わず、
私の意識が現実世界で覚醒すると共に
彼の存在もそこから消えたのだ。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます！遂に…ですね！かなーりマニアックな所まで足を突っ込んでしまわないか心配ですが…こんなに沢山の設定がごちゃ混ぜになっているお話について来てくださり本当に感謝しかないです！これからも期待に沿えるよう頑張ります！ (2021年7月25日 23時) (
レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとうございます！遂に大筒木の一族関連の事が出てくるのか、、。楽しみです！応援しております (2021年7月25日 21時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年7月24日 19時
