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人質の心情 中編 ページ38

「か…晦冥さん、」

そこにいたのは
白い面を被った晦冥、その人だった。

「あぁ、どうも、ミトさん。

それと…初めまして。
千手のお二方。」

あれから一回もこの屋敷に
訪れることがなかった彼が…何故?

そんな考えが浮かぶ。

「…千手の方々が訪れていると聞いて、
急いで来てみて正解だったな。」

何の前触れもなく一瞬で現れた彼に
驚く時間もないまま、
彼は机の上の地図を一瞥すると
淡々と話しの続きをし始める。

「いや、
話の腰を折るようで悪いが…
此処を戦場にして貰っては困る。」

「それは、
領主であるミト殿が決める事では、」

「彼女の意見も聞かずに
強引に押し行こうとしにいくのが
果たして同意と言えるのか?

私はそうは思わないぞ。なぁ?」

「うむ…晦冥殿の言う通りぞ。
扉間、確かに俺たちは少々強引、」

「兄者!」

「…」

晦冥さんもまさか
彼が自身の非を認めるとは
思っていなかったらしく、
長い茶色髪の千手の方を見ていたが。

「じゃあ…話は終わりだな。
交渉決裂で、」

そう言いながら解散とばかりに
手をぱんぱんと叩いた。

しかしそれを良しとしない声が上がる。

「待て、
まだミト殿の口から直接聞いていない。
千手からの交渉を却下すると、」

「…扉間、だが、」

「兄者は黙っていてくれ。
これは交渉なのだ。」

「う…うぅむ…」

ジロリと睨まれてしまって
頭領である筈の彼は、渋々黙りこむ。

これではどちらが頭領かわからない…
と私が思っている中、白髪の彼は続ける。

「晦冥殿とミト殿に
何の関係があるかはわからんが…

いくらかの晦冥であろうと
最終の決定権はミト殿にある。違うか?」

「まぁ、領主としての権限は
確かにミトさんにあるが…」

「では、ミト殿から直接、
断りを入れるのが筋だと俺は思う。」

「…、」

彼の要求に晦冥さんが黙り込み、
沈黙がその場を支配する。

私へと向けられる視線が
チクチクと刺さって、
ヒュと軽く緊張から息を呑み込む。

「っ、」

どうしよう…もし、
これで私の口から却下してしまったら…

それこそ私の判断でうずまき一族と
千手の関係が悪化してしまう結果に…

「…ミトさん。」

そう耳元で少し男性にしては
少し高めの声が聞こえる。

彼の方を見てみると、
初めて会った時には恐怖しか感じなかった
その赤く光る瞳が見えた。

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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます!遂に…ですね!かなーりマニアックな所まで足を突っ込んでしまわないか心配ですが…こんなに沢山の設定がごちゃ混ぜになっているお話について来てくださり本当に感謝しかないです!これからも期待に沿えるよう頑張ります! (2021年7月25日 23時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとうございます!遂に大筒木の一族関連の事が出てくるのか、、。楽しみです!応援しております (2021年7月25日 21時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年7月24日 19時

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