雲を掴む 中編 ページ35
私は一人、永遠と終わりのない
書物達を読みながら唇を噛む。
集めた書物の半分も読めていない、
それに手がかりも、未だ、ゼロだ。
まだまだ終わりそうにないだろう…
八つ当たりで私は布団を叩く。
「…、」
「あれ」には実体が存在しない。
体術、忍術、幻術、
チャクラの籠った拳でさえも
奴に効くことはないのだ…
だからこそ、
あれと戦おうとする事は
無謀そのもので…まるで
雲を殴ろうとするが如し。
「…呪いの塊？怨念？
それとも、何かの霊か？」
だがしかし、
何とも恐ろしいことに
奴からは私達に干渉できるのだ…
現にこの右手を持って行かれてしまった。
ありとあらゆる可能性を考える、
しかし一向に出ない答えに
頭が痛むような気さえする。
「かァアアア…こんなの無理ゲーだ…」
パラパラとあまりにも古い文字故に
何が書かれているのかもわからない
ページを適当にめくっていた私。
「んーと、確か屍鬼封尽…だったけ？
なんかどっかで
聞いたことあるんだよなぁ…
どこだったけなぁ。
…ん？」
ふと一枚の絵に目が引かれた。
「これは…？」
般若のような顔をし、
角を生やした人型の何かが
如何にも昔風な絵柄で描かれている。
まぁ、戦国時代と
呼ばれる時代はまさに今なのだから、
当たり前と言えば当たり前なのだが…
「えーっと…しに…なんて？
し、し…あー、死神って書いてあるな。」
それにしても、
この死神は西洋の鎌を持った死神と
言った印象はいっさいなく、
口に何やら短刀のようなものを咥えているのだ。
そして魂を引っ張り出して
いるかのような描写で描かれているのもあり、
妙にリアルに感じる。
それに足が描かれていないのも
どこか気になる。
そう、まるで、
「お化け」のようで…
まるで…
ハッとある事に気がついて
目が釘つけになる。
「…実体がない霊のような、
あいつも…同じだ。」
その事に気づいた瞬間、
無い右手が疼く感覚と共に
まるでムカデが這い上がるような
気色の悪さが右腕全体を襲う。
「っ…」
見ているぞ、とでも
言うようなそんな感覚。
しかし、
今はその感覚が私に
確信というものを与えてくれた。
「ハ、ハハハ、ハ…ハハハハッ！！」
何者にも対抗できない
そんな至高の存在ではない。
その事実を知った私は
疼く右腕なんて気にも留めず高らかに笑う。
奴がどこかで見ていようとも
構わない。
正体をわかってさえしまえば
こっちのもんだ。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます！沢山オリキャラを出しすぎて皆さんの中でごちゃごちゃになってしまわないかとても心配だったのですが、楽しく読んで頂けているとの言葉、安心しました！楽しくお話を書き続けて行けるのも全て応援のおかげです！頑張りますね！ (2021年7月10日 17時) (
レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとう御座います！オリキャラも段々出て来て、ストーリーも進んでとても楽しく読ませてもらってます。 これからも頑張って下さい！ (2021年7月10日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年7月4日 14時
