知らないフリ 後編 ページ27
「…、」
違う、聞き間違いじゃない。
『A』
彼は確かに私を見て、
そう呼んだ。
「…ぁ。」
何故、どうして？
私は正体もバレないように声すら変えて、
抑揚も何も出していなかったと言うのに…
「俺がお前の写輪眼を
見間違える筈がないだろう？」
ここで私は気づいたのだ。
「写輪眼が全て同じ見た目」なのだと、
そんな甘い考え自体が私自身の墓穴を
掘っていたということに。
全て同じに見えて、
実は写輪眼自体には一つ一つずつ、
特異な個性や特徴があるのだ。
そして彼らは子供の頃の私の目を見ていて、
私の写輪眼の特徴を知っている…
時に、自分以外の人間の方が
よっぽど自分自身を知っていることがある。
「待って、兄さん。
確かに写輪眼はAのものだけど…
でもまだそいつがAだと
確定した訳じゃない。」
そう言うと、私にずんずんと
近づいてくるイズナ君。
「だから、まずは
その面を取って顔を見せてよ。」
「晦冥様、」
横にいるカエデは私の本名を
彼が呼んだということもあり、
動揺自体は表に微塵たりとも
出していないのだが、
「…、」
その両目は据わっており
じっとマダラ君とイズナ君を
観察するかのように見ていた。
これ以上ないほどに
警戒を示している証拠だ。
「危険です、
お下がりください…晦冥様。」
彼らには聞こえないように
そう私に伝えてくるカエデの警告にすら
私は反応できなかった。
イズナ君はそんな動けない私に向かって
迷わず足を進ませる。
「っ、」
駄目だ…
あまり彼に近づかれては
私の正体に本当に確信をもたれてしまう…
そうしたら…
ふと、ここで邪な考えが
私の心の中にさす。
「晦冥」がAだという事を
隠す必要などあるのか？
だって私の事をこうして
まだ覚えていてくれるているのなら…
また彼らと…きっと、
あの時みたいに繋がりを持てるかもしれない。
だから、別にここで
ばれてしまっても…いいじゃないか。
「…わ、私は、」
私が面に手を伸ばしたその時、
(あれに関わろうとした人間は稀に…
この契印が現れます…)
そういつの日かカエデが
私に言った言葉を思い出した。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます！沢山オリキャラを出しすぎて皆さんの中でごちゃごちゃになってしまわないかとても心配だったのですが、楽しく読んで頂けているとの言葉、安心しました！楽しくお話を書き続けて行けるのも全て応援のおかげです！頑張りますね！ (2021年7月10日 17時) (
レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとう御座います！オリキャラも段々出て来て、ストーリーも進んでとても楽しく読ませてもらってます。 これからも頑張って下さい！ (2021年7月10日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年7月4日 14時
